「私は17歳で最初の短篇を書いた」「17歳のときに父や兄たちが逮捕された」「17歳のときレオーネ(夫)に会った」(いずれも作者ギンツブルグの言葉) 本書にはイタリアのユダヤ系作家ナタリーア・ギンツブルグ(1916-1991)の六つの中短篇が収められています。元々は『五つの中篇集』(1964年)に収められていた作品群を、本書と『夜の声』の二分冊にして未知谷社が出版したものです。収録作を発表順に並べると、以下のようになります。*がついたものは短篇になります。 ①『不在』(1933年)* ②『海辺の家』(1937年)* ③『町へゆく道』(1941年) ④『母親』(1948年)* ⑤『ヴァレンチーノ』(1951年) ⑥『射手座』(1957年) 実は、収録されている順番はこの通りではないのですが、私はこの発表順に読んでみました。そして、やはり『母親』以降の作品の方が印象に残ります。簡単に収録作につい