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ブックマーク / www.honzuki.jp (3)

  • hackerさんの書評 町へゆく道【本が好き!】

    「私は17歳で最初の短篇を書いた」「17歳のときに父や兄たちが逮捕された」「17歳のときレオーネ(夫)に会った」(いずれも作者ギンツブルグの言葉) 書にはイタリアのユダヤ系作家ナタリーア・ギンツブルグ(1916-1991)の六つの中短篇が収められています。元々は『五つの中篇集』(1964年)に収められていた作品群を、書と『夜の声』の二分冊にして未知谷社が出版したものです。収録作を発表順に並べると、以下のようになります。*がついたものは短篇になります。 ①『不在』(1933年)* ②『海辺の家』(1937年)* ③『町へゆく道』(1941年) ④『母親』(1948年)* ⑤『ヴァレンチーノ』(1951年) ⑥『射手座』(1957年) 実は、収録されている順番はこの通りではないのですが、私はこの発表順に読んでみました。そして、やはり『母親』以降の作品の方が印象に残ります。簡単に収録作につい

    hackerさんの書評 町へゆく道【本が好き!】
  • 塩味ビッテンさんの書評 きみのためのバラ【本が好き!】

    旅行中に出会った人との会話が織りなす心の機微を描いた短編集。いずれも「言葉」が持つ不思議な力がテーマになっています。 「砂浜に坐り込んだ船」を読んで池澤の文章に憑かれたので、再読ではありますが、書を手に取りました。4年前に読んでいたのですが、以前とは印象が誓うのは塩味が年を取ったからなのか? やはり詩人「池澤夏樹」の言葉に対するこだわりはナンパない。 一つの言葉が、人類に福音を与え、人類から争いをなくしてしまう最終兵器人るという「レシタションのはじまり」 父から受ける暴力が原因で8歳から英語しかしゃべらなくなった日人が、17歳になってカナダの北部を旅行し心の重しをやっと下す「20マイル四方で唯一のコーヒー豆」 ロシア人と結婚した男が、離婚後年に2回だけ会う娘。しかし母とロシアで暮らす娘はだんだん日語を忘れて、父との会話が通じなくなってきます。「ヘルシンキ」 ほとんど言葉が離せないのに

    塩味ビッテンさんの書評 きみのためのバラ【本が好き!】
  • ウロボロスさんの書評 パウル・ツェランと中国の天使【本が好き!】

    ツェランの詩をハイブリッドに織り込みながら語られる小説だけでも十分に堪能できますが、訳者による解説が理解が深まるような構成となっており、「注釈付き翻訳小説」という帯の惹句にも納得できました。 この作品は、二十世紀を代表するヨーロッパ詩人であるパウル・ツェランの詩が随所に散りばめられ、エクソフォニー(母語の外へ出る旅)を日語とドイツ語で文学のなかで表現し続ける多和田葉子氏によってドイツ語で書かれ、それをツェラン研究の第一人者である関口裕昭氏が翻訳して日語で出版し、「注釈付き翻訳小説」という新たな可能性を切り開いた前代未聞の小説です。 難解なツェランの詩を理解しながら読みすすめるのは、茨の道を歩むにひとしいし、理解も覚束ない。しかし、多和田葉子の文は、ひとつの意志の目標に向けてゆるやかにすすんでゆくようである。 コンサートホールを死者の魂の往還する場所=トポスにみたてたかのような次のよう

    ウロボロスさんの書評 パウル・ツェランと中国の天使【本が好き!】
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