書誌情報:岩波新書(1124),ix+224+2頁,本体価格740円,2008年4月22日 反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書) 作者:湯浅 誠発売日: 2008/04/22メディア: 新書 - 11日(日)のNHKスペシャル「セーフティネット・クライシス」は本書を下敷きにしているのではないかと思うほど,貧困の広がりとセーフティネットの崩壊を描写していた。雇用(労働),社会保険,公的扶助という三層のセーフティネットが機能していないということは間違いなく政治の失敗だ。 うっかり足を滑らせたら奈落へ転落してしまう。日本はいまや「すべり台社会」だとする本書の指摘は,新自由主義路線ととともに喧伝される自己責任論や競争万能論への徹底批判と通底する。 貧困状態の五重の排除論――教育課程,企業福祉,家族福祉,公的福祉,そして自分自身からの排除――は,労働生産物にはじまり自分自身からの「疎外」