186~7頁に地図がある。ドイツからいまの東欧にかけて発疹のような大小の点がつけられている。大きな印はダハウ、マウトハウゼンなど13、アウシュビッツ、ソビブル、マイダネクなどの「絶滅収容所」と記されたのは6、それぞれの周辺を、支所や強制労働キャンプを示す小さな粒々の「・」が衛星のように取りまいている。東方にいくほど数は密集し、著者が示すその理由を知れば暗澹とせずにはいられない。 本書は、ヒトラー政権下のナチス・ドイツによって行われた、ユダヤ人の大量殺戮=ホロコーストについての生真面目な研究書だ。 いろいろ発表したいことはあったようだが、著者は殺戮が如何にして実行されていったのか、その過程の記録に絞っている。伝えたいのは、平常なら起こり得なかったであろう「悪魔の行い」を人間がなぜ為しえたのか。 犠牲者の数は、少なく見積もっても500万人。調査によっては600万人(そのうち子供は100万人を超
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