産経の田村秀男さんは、全国紙では数少ない財務省の批判者で、ある意味、筆者のお仲間である。そんな田村さんが「日経新聞の真実」という新書を出された。記者を志す若者に、財務省や日銀の虜にならず、自分の頭で考えて行動せよというのは、まさしく、そのとおりだが、そう簡単なことではない。 個人的な努力の問題は別にして、構造的な難しさは二つある。一つは、財務省や日銀は、そもそも、国民にとって最も重要な経済成長を目的とする組織ではないこと。もう一つは、経済成長を実現する方法として何が正しいのか、批判の拠って立つ経済学は、本当のところは分かっていないということである。 ……… 財務省は収支の均衡を、日銀はインフレの防止を役目としているので、それらを目指すためなら、経済成長を阻害するようなことになっても仕方がないと考える。もし、今の日本がインフレ気味であるなら、彼らの志向性は有用なものだろうし、彼らと一体となっ
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