昼下がりの田園地帯に、けたたましい警笛とブレーキ音が響き渡った。 霧島市隼人町のJR肥薩線の隼人―日当山駅間で起きた母子3人が特急列車にはねられた17日の事故では、市内の母親(32)と、長男(5)が即死した。小学2年の長女(8)は幸い、かすり傷ですんだが、一度に母親と弟を失った長女に、住民や霧島署員らが「親子に一体何があったのか」と表情をこわばらせた。(中西瑛、新屋敷さつき) 霧島署によると、運転士は隼人駅を出発した直後、親子が線路上に立っているのに気付いた。何度も警笛を鳴らしたが、動こうとせず、約70メートル手前で急ブレーキをかけたが間に合わなかった。列車は親子をはね、約80メートル先で停車した。 長女は「お母さんが急に『死にたい』と口にし、腕を引っ張られ、線路に連れて行かれた。怖くなって列車が来る直前に逃げ出した」と話しているという。 同署幹部によると、親子は3人暮らし。父親とは別居中