タグ

ブックマーク / k-houmu-sensi2005.hatenablog.com (12)

  • 帰ってきたワイルドカード〜商標法4条1項7号該当性が認められた一事例。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    「商標法4条1項7号」といえば、商標の専門家の間でも、「どのような場面で適用されるべきか」という評価が未だに定まらない微妙な不登録事由(無効事由)である。 「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」 というあまりにシンプル、かつ漠とした要件になっているがゆえに、筋の悪い商標を蹴散らすためのツールとして積極的に使おうとする動きもあれば*1、濫用を戒める動きもあり、特に事件が裁判所に行くと、私人間の権利紛争を発端とする事件に4条1項7号を適用することはなかなか認めてもらえない*2、というのが、これまでの一般的な理解だったように思う*3。 だが、そんな“常識”をひっくり返し、純粋な私人間の関係に起因して生じた商標紛争において、4条1項7号の適用を認めた知財高裁判決が登場した。 以下では、裁判所が4条1項7号該当性を認めるに至った件特有の「事実」に適宜触れながら、果たしてこのような判断が

    帰ってきたワイルドカード〜商標法4条1項7号該当性が認められた一事例。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • “自炊代行”地裁判決への大きな失望 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    最近、いろんな裁判例を眺めても、なかなかこのブログで取り上げよう、という意欲がわかず、棚上げ状態にすることが多かったのだが、久しぶりにエキサイトさせてくれるような判決が登場したので、ここは迷わず書くことにする。 昨日午後、第一報があちこちのニュースで配信され、今朝の朝刊で比較的大きめに取り上げられていた、「自炊代行」訴訟。 「顧客からの依頼でや雑誌の内容をスキャナーで読み取り、電子データ化する「自炊代行」の適否が争われた訴訟の判決で、東京地裁(大須賀滋裁判長)は30日、「著作権法で認められた私的複製には当たらない」との判断を示した。その上で、東京都内の代行業者2社による著作権(複製権)侵害を認め、複製の差し止めと計140万円の損害賠償を命じた。」(日経済新聞2013年10月1日付け朝刊・第42面) この件で、著作権者側が地裁に訴訟を提起した2年前、自分はある種の期待を込めたエントリーを

    “自炊代行”地裁判決への大きな失望 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 役立たなかった「アンケート」〜「ほっとレモン」商標登録異議取消事件より - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    商標の「識別性」というのは、この世界では言わずと知れた花形論点だし、実務的にも類否判断と並んで重要度が高い(そして、商標実務に接し始めた担当者を一番悩ませる)ポイントだと言える。 そんな商標の識別性に関し、また研修やセミナーのネタになりそうな事例が一つ登場した。 個人的には、裁判所が出した結論以上に、当事者の立証活動に気になるものを感じるこの事例を、ここでご紹介しておくことにしたい。 知財高判平成25年8月28日(H24(行ケ)第10352号)*1 原告:カルピス株式会社 被告:特許庁長官 争われた商標は、原告が平成21年12月1日に出願し、平成23年6月27日に登録査定がなされた、 (1)赤色で彩色された,丸みを帯びた太字の書体で平仮名「ほっと」と片仮名「レモン」の文字を上下二段に,横書きした文字部分(件文字部分) 及び (2)赤色で彩色された,上辺中央を弓形に膨らませ,4隅を丸く描い

    役立たなかった「アンケート」〜「ほっとレモン」商標登録異議取消事件より - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 夏休みに読んでみた本(その3)〜知財法分野を語る上で必読の珠玉の講演録 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    そろそろ“夏休み”気分からも醒めて、この先の怒涛の仕事ラッシュに怯える時期に差し掛かっているのだが、そんな中、気合で読み切ったのが、このである。 ライブ講義 知的財産法 作者: 田村善之出版社/メーカー: 弘文堂発売日: 2012/06/06メディア: 単行この商品を含むブログを見る 知財法の分野で、長年にわたり第一線の研究者として活躍され、体系化された世界観を構築されている北大・田村善之教授の講演のうち、「特に理論的、実務的に重要なものを選んで活字化することにした」*1一冊。 元々掲げていた競争法的な視点に加え、「市場志向型知的財産法」ということで、市場と法、更に政策決定プロセスまで絡めて、知財法分野の複雑な問題を明快に説き起こそうとされているのが最近の田村教授で、各種雑誌等に掲載されている論文にも、そのようなトーンが強く打ち出されることが多い。 そして、上記のような一貫した視点から

    夏休みに読んでみた本(その3)〜知財法分野を語る上で必読の珠玉の講演録 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 「著作権」の重さを改めて感じる一事例〜ディスプレイフォントの使用をめぐって - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    パッと見た限りでは、それなりに創作性がありそうで、何らかの形で投資インセンティブを保護する必要性もあるように思われるのに、判例上は「著作物」として認められておらず、それゆえに著作権法の保護も受けられない“コンテンツ”は、決して少なくない。 「印刷用書体がここにいう著作物に該当するというためには、それが従来の印刷用書体に比して顕著な特徴を有するといった独創性を備えることが必要であり、かつ、それ自体が美術鑑賞の対象となり得る美的特性を備えていなければならないと解するのが相当である。」 という最高裁判決(最一小判平成12年9月7日)の下、事実上ほとんどのものについて、著作権法上の保護が否定されることになった「文字フォント」などは、その典型ということができるだろう。 この判決に対しては、当然ながら異論も出されたところであり*1、それが未だにくすぶっている面もあるのだが、最高裁判決が出た今となっては

    「著作権」の重さを改めて感じる一事例〜ディスプレイフォントの使用をめぐって - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • これぞ企業法務の真のバイブル。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    ゴールデンウィークも間もなく終わり、ということで、自分にカツを入れるべく、数か月前に手元に入手したものの、長らく目を通せていなかった『企業法務のセオリー』をに目を通してみた。 スキルアップのための 企業法務のセオリー (ビジネスセオリー 1) 作者: 瀧川英雄出版社/メーカー: レクシスネクシス・ジャパン発売日: 2013/01/29メディア: 単行購入: 4人 クリック: 49回この商品を含むブログ (5件) を見る 長年の当ブログの読者の方であれば良くご存じのとおり、ここで読んだの感想を書くときに、手放しで高評価を付けることはめったにないのだけど、このに関しては、 「素晴らしい」 の一言に尽きてしまうかもしれない。 特に、第2部「企業法務遂行スキル」の中で描かれた、いわゆる“総論”部分に関しては、「法務」という仕事をする上で必要なエッセンスが、ほぼ漏れなく、無駄なく、しかも分かり

    これぞ企業法務の真のバイブル。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 「脚注」に示された立法担当者の矜持〜平成24年改正著作権法コンメンタールより - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    先の著作権法改正に対応した「著作権法コンメンタール」の別冊が出た、と聞いて以降、買うか買うまいか、長らく迷っていた。 普通、この手のはそんなに面白い読み物、というわけでもないから、会社で一冊買っておいて、必要な時に引けば足る、という感覚で、あえて自分の財布を傷めて・・・という気にはなかなかならない。 ということで、このも店頭で手に取ってみて、と思っていたのだが、あまり市中には出回っていなかったようで、実物を見たのは、連休の前半に入ってから。 だが、これを手に取って、「はしがき」を読んだ瞬間に購入を即決した。 だって、 「思い返せば今回の改正は当に苦難の連続であった。筆者らは、喜怒哀楽の全てを共にした正に戦友である。そんな戦友であり、親友である(そして時に悪友でもある)筆者らがこうして書を刊行できたことは、何やら友情の証が形になったような思いがして、心から嬉しく思っている。各パートの

    「脚注」に示された立法担当者の矜持〜平成24年改正著作権法コンメンタールより - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • まだやってたのか・・・ひこにゃん! - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    「彦根城築城400年祭」のPRキャラクターだった「ひこにゃん」が、おどろおどろしい“権利”をめぐる争いに巻き込まれたのは、2007年のことだった。 イラストレーター側が民事調停を申し立て、キャラクターの使用法やライセンスの範囲等をめぐって、彦根市・400年祭実行委員会側と、イラストレーターががっぷり四つで争ったこの事件は、著作権譲渡契約における翻案権帰属の解釈や、著作者人格権の位置づけをめぐって様々な議論を提起するとともに、一見可愛げで、ともすれば安易に使われがちな“ゆるキャラ”にも、恐ろしい一面が眠っている、ということを世に知らしめた、という意味で、実にエポックメーキングな出来事だった。 (参考) http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20071112/1194796869 http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20071217/119

    まだやってたのか・・・ひこにゃん! - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 歪められつつある「平成24年著作権法改正」 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    3月に提出されて以降、国会の混乱もあってしばらく店晒しになっていた著作権法改正案だが、自民党が審議復帰したタイミングに合わせて、衆院委員会で2度目の趣旨説明が行われ、さらにそこから1週間であっという間に会議まで通ってしまう・・・という展開で、後は参院の審議を待つばかり、という状況になってしまった。 しかも、衆院で委員会の審議に入るや否や、議員サイドから予定調和的な修正案が提出され、以前懸念していたとおり*1、「違法ダウンロードに罰則」というシュールな規定が入った形で改正がなされようとしている。 「インターネットに違法投稿された音楽や映像などをダウンロードする行為が罰則の対象となる法案が今通常国会で成立する見通しとなった。10月1日にも施行する予定。「海賊版」と知りつつパソコンやスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)に取り込むと2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科せられる。」(日

    歪められつつある「平成24年著作権法改正」 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 「元社員を訴える」ことの意味。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    先日、簡単に当ブログでご紹介した、新日鉄による対ポスコ営業秘密使用差し止め&損害賠償請求訴訟*1。 日経紙は相変わらずこのネタがお好きなようで、今度は月曜日の法務面で大々的に特集を組んで報じている。 新日鉄がいかにして「営業秘密関係訴訟のハードル」を乗り越えたのか、というところに主な焦点を当てた記事であり、「技術の不正取得の立証」がポスコ元研究者の別件訴訟のおかげで可能になったこと、「営業秘密」該当性の立証について、「社内でもトップレベルの難しい技術で、厳格な管理をしていた」(佐久間総一郎・新日鉄常務執行役員)と新日鉄サイドが自信を示していることなどが、記事としてまとめられている。 そもそも「厳格な管理」をしていた、というのであれば、なぜに技術者1名が協力したくらいで、「営業秘密が流出」してしまったのか、ということに、個人的には重大な疑問を抱いているところであるが*2、その辺を除けば、この

    「元社員を訴える」ことの意味。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 誰が意匠権の拡大を望むのか? - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    昨年くらいから一部で議論はされながら、立ち消え(?)になったと思われていたネタが、日経紙上で突如として復活してきた。 「特許庁は工業製品のデザインを保護する意匠権の範囲を拡大する方向で検討に入った。パソコンやスマートフォン(高機能携帯電話)などの画面上に表示されるウェブページやアイコンなどのデザインにも意匠権を認める方向。欧米など主要国の制度に近づけ、IT(情報技術)企業の海外進出を支援する。」(日経済新聞2012年3月27日付け朝刊・第5面) 確かに、記事にもあるように、画面デザインをめぐる紛争は、世界各地で勃発しているし*1、良いデザインがあれば模倣品が出回るのも世の常だ。 だが、だからといって、あらゆる機能的画面デザインを意匠権でカバーすることが、世の中のニーズに沿うか?と言われればそれは明らかに違うと思う*2。 記事では、 「著作権は意匠権と比べて権利の確定が難しく紛争の解決に時

    誰が意匠権の拡大を望むのか? - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 「アンフェア」なのはどっちだ?<前編> - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    これまでこのブログでも取り上げてきた、越後製菓対佐藤品の「切り」特許事件。 地裁で請求棄却の判断が出たにもかかわらず*1、知財高裁で大逆転中間判決が出され*2、審理の帰趨が注目されているところで、佐藤品工業側から以下のようなプレスリリースが11月25日付けで出された*3。 当社が、平成22 年12月14日付で「当社に対する訴訟(控訴)の提起に関するお知らせ」で公表しておりました越後製菓株式会社(以下「控訴人」と言います)からの特許権侵害差止等請求控訴事件(控訴の提起日:平成22年12月13日付、訴えの提起日:平成21年3月11日付)において、平成23年11月16日付で控訴人から訴え変更の申立がなされた旨、知的財産高等裁判所より通知を受けましたので下記のとおりお知らせいたします。 記 1.変更の内容 訴訟は、平成22年12月13日付で控訴人より当社の製品が控訴人所有の特許権を侵害して

    「アンフェア」なのはどっちだ?<前編> - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 1