民主党を中心とする政権が誕生した昨年八月末の衆院選。「コンクリートから人へ」のスローガンのもと、前原誠司国土交通相が九月の就任直後に建設中止を表明し、政権交代の象徴となったのが八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)だった。あれから間もなく一年。水没が予定された川原湯温泉の人たちは今、どのような夏を迎えているのか。現地を歩いた。(北川成史) 水没予定地のJR吾妻線川原湯温泉駅を降りると、目の前を国道145号が走る。昨年九月の前原国交相の建設中止表明後、現地を一目見ようとする県内外からの車が、片側一車線の道を埋めた。