投資ファンドの実態を研究した学術論文に対して、「名誉毀損(きそん)だ」として、莫大(ばくだい)な損害賠償を求めて提訴する事件が起きています。学問・研究の自由を脅かす問題として、いま学者・研究者をはじめ、幅広い分野で裁判支援の輪が広がっています。 提訴されているのは、明治大学で会計学を研究する野中郁江教授。提訴しているのは、昭和ホールディングス(HD)と同HDを事実上支配するアジア・パートナーシップ・ファンド(APF)の経営者らです。昨年7月、5500万円の損害賠償などを求めて東京地裁に提訴しました。雑誌『経済』189号(2011年6月号)に掲載された野中氏の論文「不公正ファイナンスと昭和ゴム事件 問われる証券市場規制の機能まひ」と、東京都労働委員会に提出した鑑定意見書の記述が「名誉毀損にあたる」としています。 30億円の流出 昭和ゴム(現・昭和HD)事件は、APF経営者が昭和HDなどの取締