■要旨 アベノミクス開始から6年目に入ったが、依然として個人消費は力強さに欠ける。実質賃金の伸び悩みも大きな要因の1つだが、賃金はじわりと改善傾向を示す一方で、一層低迷が続く消費の状況を見れば、必ずしも「賃金が上がれば消費も増える」わけではなさそうだ。 消費が活性化しにくい理由としては、まず、(1)若い世代をはじめ消費者全体で経済的不安が広がっていることがある。現役世代では、若い世代ほど厳しい雇用環境にあり、少子高齢化による社会保障不安もある。高齢者でも年金受給額の引き下げなど制度変更による生活防衛意識の強まりもあるだろう。 (2)高齢化の進行で世帯当たりの消費額が減る高齢世帯の存在感が増していることも指摘できる。高齢世帯では世帯当たりの消費額が減り、賃金増の影響も受けにくい。高齢世帯の増加に伴い、2025年頃から国内最終家計消費支出は減少に転じる見込みだ。 さらに、(3)消費社会の成熟化