水にぬれて激しく波打つエッセー、張り付いたページを無理にはがして破れた雑誌…。傷付けられた本から悲鳴が聞こえるようだ。岡山県立図書館(岡山市北区丸の内)では、月に約60冊の破損した本が見つかるという。 子どもの落書きはともかく、分別ある大人の心ない行為は理解に苦しむ。レシピ部分だけがカッターナイフで切り取られた料理雑誌や、カラーペンで線を引かれた専門書。弁償を求めようにも、紛失した場合を除いて利用者が自ら申告するケースは少ない。 破損が激しい本は購入し直すが、中には絶版になり古書店などで探しても再入手が難しいこともあるといい、清友久美子司書は「多くの人が利用する本を傷付けられるのは本当に悲しい」と話す。 年間利用者が100万人を超える同図書館。今年も夏休みに合わせ、20日から9月1日まで破損本約10冊をエントランスに展示する試みが始まる。公共の財産を次世代に引き継ぐ―。心を豊かにする本の大