京都新聞掲載 2002/1/22「オランダのワークシェアリング」 最近日本でもワークシェアリングの導入がよく話題に上っているようだ。私が住むオランダでは、ヨーロッパの中でも最も上手くワークシェアリングが行き渡って、一九八〇年代に三十万人の雇用が新たに生まれたと言われる。今では失業率はなんと二パーセント台。完全雇用の状態だ。その現場を観察してきた立場から、この制度の日本への導入について考えてみたい。 ワークシェアリングには大きく分けて三つの方法がある。就労時間短縮、早期退職制度そしてパートタイム労働導入である。いずれも一人の従業員の就労時間を短縮することによって、ほかの人を追加で雇う機会を増やそうとするものだ。 オランダではこの三つが同時並行的に進行した。週当たり就労時間はおおむね三十八時間。フレックスタイムも普及している。正式な定年は六十五才だが、そこまで働く人はほとんどいない。一般的には