(これは、「算数ガール」に極めて近い「数学ガール」の物語) 図書室には、私だけのお気に入りスポットがある。図書室の隅、二つの書架の間にちょうど自分の体を納めるほどのスペースが空いている。お気に入りのその場所に、ぺたんと座り込んで読むのが好き。身体全体が包まれて、安心して本に入り込める。誰からも見られない、私だけの世界に。 その日……運命との出会いの日も、私は図書室にいた。森の木のようにたくさん並んだ書架の間を歩き回り、そしてたまたま、いつもは寄りつかない書架に向かった。ちょっとした気まぐれだ。 (中略) 気づいた。 奥に何かある。 いま取り出した本にちょうど隠れるような位置。本棚の奥にもう一冊の本があるのが見えた。 私は手を伸ばしてその本を取り出す…… 少女アルファの冒険 PDF/A5版/33ページ/DRMなし 2015年4月21日 結城浩ミニ文庫mini-006 https://www.