台風19号で被害を受けた川崎市市民ミュージアム(中原区)の収蔵品に修復困難なケースが複数あると二十八日発表した市は、具体的な作品名を「個人情報」を理由に明かさなかった。点数も明らかにしていない。収蔵庫から搬出した収蔵品は二十五日時点で、全体の三分の一の約七万五千点にとどまっているという。 (大平樹) 市によると、修復困難な収蔵品はふやけた映画フィルムや、印画紙だけになった写真など。他に、素材が変質した考古物や「絵の体裁をなしていない」(担当者)油絵などがある。古文書などを保管していた収蔵庫の床には、溶けた紙類が流れた様子が確認され、市は引き続き被害状況を調べている。
日本百名山の一つで、東京都と山梨、埼玉両県にまたがる雲取山(二、〇一七メートル)のメインの登山ルート上で、東京都奥多摩町が運営していた山小屋「奥多摩小屋」が三月末で閉鎖された。閉鎖に伴い管理人がいなくなったため、小屋のトイレや近くにあった人気のテント場も利用できなくなった。町は使わないよう呼び掛けているが、登山愛好家からは「ごみやトイレの問題が発生しかねない」と周辺の環境悪化を懸念する声が上がっている。 (服部展和) 奥多摩小屋は町が六十年前の一九五九年、東京国体の山岳競技開催に合わせて建てた。木造平屋で、都と山梨県境の尾根を通るメインルート上の標高約千八百メートルにある。 メインルート上には、ほかに宿泊できる施設が二カ所あり、テント場もあるが、収容人数は限られる。奥多摩小屋近くのテント場は最も広く、水も湧き、富士山を望める眺望も人気だった。雲取山の標高と同じ西暦の二〇一七年度には四千人超
10億7000万円をかけて改修された海老名市立中央図書館。カフェや書籍販売コーナーも併設されている=海老名市上郷で レンタル大手TSUTAYA(ツタヤ)を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が指定管理者となった全国二例目の公立図書館として、昨年十月にリニューアルオープンした海老名市立中央図書館(同市上郷)の初年度の来館者数が六十九万七千三百五十九人だったことが市の集計で分かった。利用者は目標の百万人には届かなかったが、一・七倍に増加。一方で運営経費も約一億五千万円増えており、「ツタヤ図書館」の費用対効果の検証が求められている。 (井上靖史) 利用者が年間百万人に届かなかったことについてCCCの担当者は、全国で初めて二〇一三年に運営を始めた佐賀県武雄市立図書館で、利用者が四倍に増えたことから推計したと説明。「目標が高すぎた。集客施設が周辺にある海老名には当てはまらなかった」と
東京都の豊洲市場(江東区)の地下水から環境基準の最大七十九倍のベンゼンなどが検出された問題で、都の再調査の結果、前回を上回る約百倍のベンゼンが検出されたことが、都関係者への取材で分かった。検出されないことが基準のシアンも出た。十九日に開かれる都の専門家会議で結果を評価する。 七十九倍のベンゼンなどを検出した前回調査で、同会議は「地下水は飲まず、土壌と建物の間にはコンクリートなどがあり、建物内の安全は確保されている」と分析。一方、小池知事は消費者の理解が得られていないなど安心面の課題を指摘しており、今回の結果を踏まえて築地市場(中央区)から移転するかどうか判断する。 再調査は一月下旬~今月上旬、前回調査で基準を超えた場所を中心に二十九カ所で実施。関係者によると、有害物質の濃度は、場所によって前回より高くなったり低くなったりしているが、全体的な傾向は前回と同水準という。
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から間もなく六年。福島第一をはじめとする廃炉や使用済み燃料再利用など原発の後始末にかかる費用が膨張している。本紙が政府推計や予算資料を集計したところ国内の原発処理の経費は最低四十兆円に上ることが判明。原発のある自治体への補助金などの税金投入も一九七〇年代半ばから二〇一五年度までに十七兆円に達した。すでに国民が税などで負担した分を除き、増大する費用は電気代や税で国民が支払わねばならず、家計の重荷も増している。 (原発国民負担取材班) 四十兆円は国民一人当たり三十二万円に上る。原子炉や核燃料処理費がかさむのは危険な核物質を処理する必要があるため。自治体補助金も「迷惑料」の色彩が強い。原発の建設・運営費も事故後は安全規制強化で世界的に上昇している。 政府は福島事故処理費を一三年時点で十一兆円と推計したが、被害の深刻さが判明するにつれ、二一・五兆円と倍増。本来
東京電力福島第一原発事故による首都圏への放射能汚染問題で、本紙は昨年に続き、茨城、千葉両県にまたがる水郷地帯の状況を独自に調査した。前回と比べ放射性セシウム濃度の上下はあるものの、手賀沼(千葉県)や牛久沼(茨城県)の汚染は高止まりの状況。印旛沼(千葉県)から花見川河口(同)へとたどったところ、沼から川、東京湾へと汚染が拡散している状況が分かった。 (山川剛史、荒井六貴) 調査は今年一月、水郷一帯の沼や川計二十四カ所で採泥器を用いて底の堆積物を採取。合わせて河川敷など採取地近くの土も採取した。乾燥させ落ち葉などを取り除き、樹脂容器に詰め、それぞれ八時間かけてセシウム濃度を測定した。 その結果、汚染が目立ったのは手賀沼。沼そのものは昨年より少し低下傾向が見られるが、上流にある調整池の中央では、一キロ当たり五八六七ベクレルを検出した。 採取点近くの地上の土は九〇六九ベクレルあり、分別管理が
【ワシントン=金杉貴雄】安倍晋三首相は一日午前(日本時間二日未明)、核物質や核施設の防護・管理強化を話し合う「核安全保障サミット」で演説し、東京電力福島第一原発の事故を踏まえ「日本は二度とあのような事故を起こさないとの決意の下、原子力の平和的利用を再びリードすべく歩み始めた」と原発の再稼働推進を宣言した。事故から五年を経ても収束の道筋が見えない福島第一原発の現状には言及しなかった。 首相は演説で「事故の教訓を原発を導入するすべての国と共有し、安全性や事故対策についての知見を世界に広げることが日本の使命だ」と強調。各国への支援、安全基準に関する国際協力などを積極的に行っていく考えを表明した。 福島第一原発では、現在も放射能汚染水の対策に追われる。福島県では十万人近くが避難生活を送り、放射性物質を含む汚染土を処分するめどもついていない。東電や国から十分な賠償が得られていないとして集団訴訟
二〇一一年三月の東京電力福島第一原発事故の際、首都圏で大規模な避難が必要になる最悪のシナリオに備え、当時の菅直人・民主党政権下で首相談話の作成が極秘に行われていたことが分かった。本紙が入手した草案には「ことここに至っては、政府の力だけ、自治体の力だけでは、皆様(みなさま)の生活をすべてお守りすることができません」などと万策尽きた状況を想定した部分もあり、原発事故直後の政府内の危機感をあらためて示している。 草案を作成したのは、民主党政権で官邸の情報発信担当の内閣官房参与を務めていた劇作家の平田オリザ氏。当時、文部科学副大臣だった鈴木寛・元民主党参院議員が原発事故発生から一週間後の一一年三月十八日、作成を依頼し、平田氏は二日後の二十日に書き上げた。四百字詰め原稿用紙七枚に相当する約二千八百字の長文で、避難の範囲といった具体的な数値については、発表時の放射性物質の拡散状況に対応できるよう「○○
東京電力は十七日、福島第一原発事故の際、2号機で原子炉圧力容器内の蒸気を抜いて圧力を下げる「逃がし安全弁」と呼ばれる弁を作動させるための装置のシール材が、高熱で溶けていた可能性があると発表した。また3号機でも原子炉格納容器のふたのシール材が溶け、放射性物質を含んだ蒸気が隙間から直接、環境に放出されていた可能性が高いことも分かった。 いずれも事故の未解明部分として進めていた調査で判明した。2号機のシール材溶融は「原子炉の圧力を下げる作業が難航し、注水が遅れた要因の一つとなった可能性もある」としている。 2号機では、逃がし安全弁を作動させるために窒素ガスを送り込む「電磁弁」と呼ばれる装置のゴム製シール材が溶けた可能性がある。耐熱温度は約一七〇度だったが、検証の結果、高温だと短時間の使用にしか耐えられないことが判明した。 2号機では二〇一一年三月十四日、原子炉に注水を続けてきた冷却装置が停止、消
日本の近代化を支えた技術や、基地の街の歴史をたどる横須賀製鉄所の展示を眺める米兵たち=横須賀市の米海軍横須賀基地で 横須賀製鉄所(後の横須賀造船所)が1865年の着工から150年を迎えたのを機に、日本の近代化を支えた技術や基地の歩みをたどる展示「米海軍横須賀基地と横須賀製鉄所」が9日、横須賀市の米海軍横須賀基地正門横の「日米文化交流センター」で始まった。市の担当者は「当時と今を比べながら、横須賀の歩みを知ってほしい」と呼び掛けている。 (中沢佳子) 会場には、明治初期の製鉄所全景や、同製鉄所初の軍艦「清輝」の竜骨など、写真パネルを中心に三十七点を展示。旧海軍横須賀鎮守府とその建物をほぼそのまま使っている在日米海軍司令部、基地内に残り今も現役で使用されているドライドック、旧海軍病院と現在の米海軍病院など、新旧の比較を楽しむ写真が並ぶ。 中でも、軍港があったために法で街の撮影や写生が禁じられた
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