前編、中編ではマインドフルネスの定義や特徴についてご紹介しました。 最終回となる今回は、マインドフルネス実践時に脳内で起きている現象と、それを捉えるための最新の研究について引き続き、早稲田大学 人間科学学術院 教授 熊野宏昭 先生にお伺いしました。 ―瞑想に関する脳科学的な研究では、どのような知見が報告されていますか。 瞑想時の脳の働きは世界中で研究が進んでいます。その中で「注意制御」、「感情の制御」、「自己感の変容」といった3つの側面から説明できるようになってきています。 「注意制御」に関わる脳の変化は、集中瞑想時に現れやすい傾向にあります。集中瞑想の間、前頭前野の活動は広い範囲で抑えられていることが多いのですが、注意制御に関係する前帯状回の背側部だけは活動を続けています1。 しかし、観察瞑想では通常の安静時と比較して、前帯状回および前頭前野に変化はあまり見られません1。これは、観察瞑想