菅義偉首相は1月18日の施政方針演説で、「2050年の脱炭素社会の実現」を改めて掲げた。その切り札として期待されるのが、海上に風車を設置する洋上風力発電だ。温室効果ガスの排出がなく、現在複数の区域で事業化が検討されている。将来的には日本の主力電源になる可能性もある。ただし、現状での実績は皆無に等しい。洋上風力は日本の希望となるのか。銚子沖や事業者を取材した。(取材・文/ジャーナリスト・小川匡則) 千葉県銚子市のマリーナから船に乗り込み、沖合に進むこと10分。海上に設置された1本の風車にたどり着いた。海面からの高さは126メートル、羽根が回転して描く円の直径は92メートルの銚子沖洋上風力発電所だ。沖合における着床式の洋上風力発電所として、国内で初めて設置された。着床式とは、風車の基礎を海底に固定する様式だ。