政権を発足させたトランプ大統領やイーロン・マスク氏は、「学問の自由」を攻撃するとともに、専門家による言論のチェックに嫌悪感を示しつつ、誰もが好き勝手に発言する「言論の自由」を重視する姿勢を見せています。こうした姿勢はどのような意味で問題なのか、昨年『モヤモヤする正義』を刊行したベンジャミン・クリッツァーさんが解説します。 マスク&トランプの「反多様性」1月20日にアメリカ合衆国大統領として再就任したドナルド・トランプは、バイデン前政権が実施していた「多様性・平等性・包摂性(DEI)」を推進する方針を撤回し、「生物学的な男女」のみを性別として認める大統領令に署名した。そして、トランプ大統領は「学問の自由」を激しく攻撃している。DEI関連の研究や教育プログラムへの資金提供を停止する動きを加速させたほか、公衆衛生や気候変動対策などに関わる自然科学的な研究も標的となっており、研究機関の持つデータや