花粉の季節になると、思い出す曲がある 「黒いシミ」 春の情景をつづった歌だ。 おれの住んでいた下町は、当時とても荒廃していた。 学校では校内暴力、街は貧困と無気力と不潔感に常に包まれていた。 街には、家を持たない日雇労働者のおじさんが沢山いて、その多くが路上で寝泊まりをしていた。 冬場の朝になると、そうゆうおじさん達が、道端でそのまま凍死したりしていた。 土曜日のまっ昼間から、下半身をあらわにした壊れたおじさんが、商店街をフラフラ歩いていたりもしてた。 とにかくめちゃくちゃだった。みんな貧乏だったし、ひたすら生活に追われているように見えた。 そうゆう、どうにもならない空気が、 街にも、そして人の心のなかにもこびりついていて 閉塞的なため息が、毎日をずっと支配していた。 すぐ近くに河が流れていた。 絵の具を全部混ぜたような、深い色の汚れた川だった。 きっと当時は、規制も何もないのをいいことに
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