現在の極東が19世紀末の情勢に似ていると言えば、朝鮮半島だけでなく、北の元締めである中国もそうです。どこかで読みましたが、世界経済における中国のプレゼンスが今日ほどに大きくなるのは、19世紀末以来だとか。 19世紀後半の中国というと、西欧列強に蹂躙され、腐敗宦官が跋扈する頽廃の極地というイメージがあります。独立心旺盛な幕末の志士から見れば、確かにそれ以外の何ものでもなかったでしょう。しかし西欧人の目から見れば、無尽蔵な労働力と資源、広大な市場を有する中国は、「世界の列強としての尊敬に真に値する、唯一のアジアの大国」でした。社会的な矛盾と汚職を抱えつつ、「中国の時代」が喧伝されている現在の姿と重なります。 こうしたアジア秩序を破壊したのは、朝鮮半島でした。朝鮮の政情不安を契機に起きた日清戦争で中国は完敗し、大国としてのメンツは丸つぶれになり、中国は真に西欧の草刈り場へと没落していくことになる