ここ1,2年、中国は独自の発展モデルを持っているとか、ワシントンコンセンサスから北京コンセンサスだとか、いや中国を初めとしてこれからは国家資本主義の時代だとかいった議論がかまびすしい。しかし、本書はそのようなその時々の情勢に影響された時論や、あるいは現政権の正当性を追認するだけような底の浅い議論が吹っ飛んでしまうような重量級の実証研究である。 汲古叢書99 明清中国の経済構造 作者: 足立啓二出版社/メーカー: 汲古書院発売日: 2012/02/10メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログを見る 著者の足立氏はよく知られるように、1998年に出版された『専制国家史論―中国史から世界史へ (叢書 歴史学と現在)』が話題となった際に、西尾幹二氏や坂本多加雄氏といった人々−端的に言えば「新しい歴史教科書をつくる会」関係の人々−にその議論が積極的に評価される、ということがあった。そ