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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (29)

  • 「それでも、読書をやめない理由」は何だと思う?

    いきなり結論、答えは「情報過多だからこそ、を読むことが重要」になる。 結論はシンプルだが、ここへたどり着くまでの曲折は、身に覚えありまくり。そして、この結論そのものも激しく納得できる。「やっぱりが好き!」この理由を腑に落とすことができる、貴重な一冊。 著者は批評家で、大学では文学を教えている。を読むのが仕事なのに、ある日、読書に集中できなくなった自分に気づく。 もちろん、誘惑しているのはネットだ。メール、チャット、ブログ、ツイッター、フェイスブック、ニュースサイト……テクノロジーがもたらすノイズに注意散漫となり、ネットサーフィンの合間にを読んでるようなもの。ミソとクソと絶え間ないざわめきの中で、作家の権威は失墜し、物語の力は骨抜きになる。 著者の悩みは身に染みる。実際、イマどきのモノ書きが直面している問題は、まさにこれだろう。彼は、息子の宿題をダシに「グレート・ギャツビー」を再読し

    「それでも、読書をやめない理由」は何だと思う?
  • シンプルな人類史「スプーンと元素周期表」

    面白いの探し方を教えよう。 図書館限定だが、的中率は100パーセントだ(ソース俺)。面白いかそうでないかは、もちろん好みによる。読書経験やそのときの興味、コンディションによっても左右される。だが、誰かを夢中にさせたなら、あなたを虜にするかもしれない。手に取る価値は充分にある。 では、「誰かを夢中にさせた」をどうやって見つけるか?書店の新刊と違って、図書館なら、ちゃんとその跡が残っている。 それは、の「背」。のてっぺん(天)から背を眺めてみよう。少し斜めになっているはずだ。を開くと、表紙に近いページが引っ張られ、背がひしゃげる。を閉じると、引っ張られたページが戻ろうとする。つまり、一気に読まれたの背は、ひしゃげたまま戻らなくなる。途中で放り出されたり、中断をくり返したなら、新刊のように真っ直ぐなまま。 試みに、ちょい昔のベストセラーを見るといい。気の毒なくらいひしゃげている

    シンプルな人類史「スプーンと元素周期表」
  • 本好きが選んだ新潮文庫の160冊

    好きなを持ち寄って、まったりアツく語り合うスゴオフ。今回のテーマは「新潮文庫」。ジャンル不問・冊数未定でありながら、やってみるとむつかしい。 なぜと問うなら、自分の書棚と脳裏を浚ってみるといい。文芸、海外歴史、冒険、SF、純文、対談、ミステリー、ファンタジー、ドキュメンタリー、エッセイ、記憶から積山から、懐かしの一冊から流行りの新刊まで、いくらでも出てくるから。ありすぎて選べないのだ。 それでもムリヤリ選んだのが、「この新潮文庫がスゴい!(徹夜小説編)」。これは「新潮文庫」+「寝忘れる徹夜」という組み合わせで厳選したもの。そして、人力検索はてなで質問したのが、「『この新潮文庫がスゴい!』という、あなたのオススメを教えてください」になる。わたしの偏見「理系のはてな」を跳ね返す文理入り乱れの怒涛のラインナップが揃った。 そして、実際にみんなで語り合ったのがスゴオフ。新潮文庫の良さ(

    本好きが選んだ新潮文庫の160冊
  • 「音楽の科学」はスゴ本

    音楽とは何か? 音楽を「音楽」だと認識できるのは、なぜか? 音楽を「美しい」と感じたり、心を動かされるのは、なぜか? 音楽好きなら、誰でも一度は思ったことを、徹底的に調べ上げる。そして、究極の問いかけ、「音楽は普遍的なものか」に対して真正面から答えている―――答えは"No"なのだが、そこまでのプロセスがすごい。 類書として「響きの科楽」を読んでいるが、こちらのほうが入りやすい。リズムや平均律、協和音、周波数といった音楽に関するトピックを取り上げ、音楽と快楽のあいだにあるものを浮かび上がらせる。 いっぽう「音楽の科学」はかなり踏み込んでいる。音楽の定義から、楽曲と使う音の恣意性、「良い」メロディの考察、音楽のゲシュタルト原理、協和・不協和音、リズムと旋律、音色と楽器―――ほぼ全方位的に展開される。さらに、音楽を聴くときの脳の活性状態についての研究成果と、音楽に「ジャンル」がある理由、「音楽=

    「音楽の科学」はスゴ本
  • 「この世で一番おもしろいミクロ経済学」は面白かっただけでなく、経済学を学びたくなる

    経済学は面白い!」と言える一冊。かつ、初学者のわたしに、かなり有用な一冊。 「経済学」ってこんなに興味深いモデルを扱っていたのね、と改めて知らされる。裏づけのあるトピックで構成されているため、眉唾に見えるのは、わたしの勉強不足だな。聞きかじり知ったかぶりの「弾力性」「パレート効率」「限界分析」の肝が、大づかみで納得できる。これを取っ掛かりに、いわゆる「教科書」に行ける。 このはまず、最適化する個人に注目し、次に数人の戦略的な交渉に注目し、そして多数の個人による競争市場のやりとりに注目する。その間ずっと、一つの大きな問題を考えて続け、噛み砕き、伝える。そのテーマとは、これだ。 「個人にとっての最適化の結果が集団全体にとってもよい結果になる」のは、どんな場合? マンガでは(マンガなのだこれは)、説明役にこう言わせている。言い換えると、ぼくが自分にとってよいことをして… きみが自分にとってよ

    「この世で一番おもしろいミクロ経済学」は面白かっただけでなく、経済学を学びたくなる
  • 最優秀の集大成「ピュリツァー賞 受賞写真 全記録」

    凡百の言葉よりも選一の写真が雄弁だ。そんな最優秀を集大成した一冊。 米国で最も権威あるピュリツァー賞、その受賞写真を年代順に眺める。ベトナム戦争、冷戦、アフリカでの紛争、イラクやアフガニスタンと戦争報道が多いのは、米国の国際的関心とフォトジャーナリズムの潮流が同期していたから。地震や噴火、津波などの災害モノもあり、安全な場所から歴史の現場を垣間見ることができる。 ただし、内側・地方紙の報道写真も挟み込むように受賞している。井戸に落ちた乳児が救出される瞬間を捉えた一枚とか、大柄な赤ん坊を産み終えた直後の母親の笑顔とかに出会うとホッとする。パレードの交通整理をしている警官が、小さな子どもと目線を合わせている微笑ましいショットなんて、見てるこっちの頬がゆるむ。 共通しているのは、一枚で全てを物語っているところ。出来事の背景や状況の説明、カメラマンのプロフィールから撮影情報まで記載されている。だが

    最優秀の集大成「ピュリツァー賞 受賞写真 全記録」
  • 「10代の子をもつ親が知っておきたいこと」はスゴ本

    あと数年で思春期にさしかかる。「なってから」読むのでは遅い。だから、「なる前に」やれる準備はしておこう。そのための心強い一冊となった。一読、「思春期の親業」に自信がつく、スゴというよりも、心構えをつくる。 もちろんマニュアル世代ですが何か? こういう手引きというかマニュアルを良しとしない人がいる。だが、むしろ先達の経験+専門家の知識を短期間で吸収できる。あたって砕けろ的な現場主義はいただけない。で練習して、実地に適用する。教ばかりも情けないが(ビジネス書フェチの畳上水練)、選んで読んで、実践とフィードバックをしていこう。 思春期のポイントは2つ、「自尊心」「コミュニケーション力」を育てること。「自尊心」とは、そのままの自分の存在を肯定する気持ちのこと。「コミュニケーション力」は気持ちを分かりやすく伝えることで、他者とのつながりを深めたり、求めるものを得る能力のこと。両者は密接な

    「10代の子をもつ親が知っておきたいこと」はスゴ本
  • わが子がイジメられてるらしいと思った親が最初にしたこと

    それは記録。 背中が痛いと訴えてくる息子を裸にしたところ、広範囲に内出血跡を見つける。詳細は省くが、殴られたらしい。「すわイジメ」と気負いたつのではなく、ゆっくりと子どもの話を聞く。度を越した悪ふざけなのか、陰湿なやつなのか見きわめがつかないし、子どもの話なので一貫性が見出しにくい。 まず、子どもの話を遮ることなく最後まで聞く。たずねるニュアンスの「訊く」のではなく受け入れるように「聞く」。そいつを逐一記録する。客観的に述べるのは難しいだろう(大人だってそうだ)、だから矛盾点には目をつぶり、ありのまま記録してゆく。ついでに写真も撮っておく。トラブルが大きくなり、収拾がつかなくなってからではなく、(たとえ一面からでもそれを自覚しつつ)子どもからヒアリングを続ける。 次に、「親は味方だ」というメッセージを伝える。独りで抱え込むなという。どうしても言いたくないのであれば、無理に聞くことはない。親

    わが子がイジメられてるらしいと思った親が最初にしたこと
  • けっこうアナログ「数覚とは何か」

    数学的センスのようなものだと予断してたら、大きく外れた。味覚や視覚のような感覚の一つとしての「数覚」という意味なのだ。 そして、驚くべきことにこの数覚、生得的なものとして扱われている。つまり、この数学的感覚は生まれながらにして備わっているというのだ。ええー、数学は得手じゃなかったんだけど……「数学は暗記科目」として逃げてたわたしには、にわかに信じがたい。 さらにこれ、人間だけのものでないそうな。数を数えたり、グルーピングしたり、量の比較をするといった操作は、生物の遺伝レベルで仕込まれているという。「数学」なるものを人類の財産として崇め奉っていたわたしには、ちょっとした衝撃だった。人知を超えた数秘術から、より生臭い存在としてつきあえそう。 この数覚なるもの、非常にアナログ的だという。たとえば、数字の大小比較の実験で、その非デジタルさが明らかになる。「4」と「5」の大小を判断するよりも、「1」

    けっこうアナログ「数覚とは何か」