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  • ドイツ経済:「すべてに勝るドイツモデル」

    (英エコノミスト誌 2012年4月14日号) 世界中の国々がドイツから学ぶべきことと学ぶべきでないこと。 大半の先進国はドイツに魅了されている。硬化症に苦しむ欧州の真ん中にいながら、ドイツの1人当たり国内総生産(GDP)はこの10年間で先進7カ国(G7)のどの国よりも拡大した。 問題を抱えるユーロ圏の失業率が、単一通貨の誕生以来、最も高くなっている一方、ドイツでは、失業率が過去最低を記録している。 また、大半の先進国では、製造業の輸出が外国との競争で大打撃を受けているが、ドイツでは輸出産業が今も強力な成長の原動力となっている。フランスやスペイン、イタリア、英国の追い詰められた政治指導者たちが物憂げに、もっとドイツのようになりたいと話しているのも無理はない。 ドイツの成功の秘訣 最近のドイツの成功には、新しい原因と古い原因がある。わずか10年前、まだ東西統一のコストに苦しんでいた頃、ドイツ

  • 福島県庁にSPEEDIのデータは届いていた! メルトダウンの恐怖の中、後回しになった住民避難 | JBpress (ジェイビープレス)

    取材に応えた担当者は、名刺を交換したうえで、災害対策部の話として書いてもいいが、個人名は伏せてほしいと私に依頼した。県庁職員の氏名にニュース価値はないので、それに沿う。 質問は主に2点である。 (1)地元で行われていた原子力災害を想定した避難訓練の内容。 (2)原発事故が起きた場合の放射性物質の流れを予測し、住民を避難させるためのシステム「SPEEDI」は生きていたのか。その情報を福島県庁はどう扱ったのか。避難に役立ったのか。 放射性物質は「すーっと消える」はずだった 私は福島第一原発の地元、双葉町の井戸川克隆町長が「3月12日の水素爆発の数分後、町内に降下物が降ったのを目撃した」と話をしていたことを思い出し、福島県災害対策部の担当者にその話を伝えてみた。 ──放射性降下物を住民が浴びて被曝する被害を想定していなかったのですか。 「そうです。『(放射性物質は)出て、すーっと消えた』とい

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  • スコットランド独立の高い代償 別の意味で「北のアテネ」になる恐れ

    スコットランド国民党(SNP)の党首で、スコットランド自治政府首相でもあるアレックス・サモンド氏(右)は独立を目指している〔AFPBB News〕 1698年、スコットランド王国の貴族と地主は、パナマ地峡を植民地化して自国を世界の貿易大国にしようとした。ダリエン計画は失敗し、スコットランドは破綻しかけた。それから10年経たないうちに、スコットランドはイングランドと連合法を締結し、グレートブリテン連合王国を築いた。 18世紀に入ると、スコットランド人はグローバル化する世界で小国でいるのが厳しいことを悟った。しかし国家主義者というのは楽観的な人種で、独立に再挑戦することを心から望んでいる。 スコットランドの市民は今から2年後に、独立した主権国家になりたいかどうかを問われる。300年の歴史を持つ連合が崩れるのは滅多にないため、この投票の影響は人口500万人のスコットランドにとどまらず、広範囲に及

  • 100万人の虐殺を乗り越えた「アフリカの奇跡」 ルワンダが「失敗国家」から甦るまで | JBpress (ジェイビープレス)

    4月9日、東京の新宿にほど近い大久保のウェスレアン・ホーリネス教団の淀橋教会で、ルワンダ大虐殺の犠牲者を追悼する式典が開催された。 今年で18回目を迎える式典には、東アフリカ諸国の大使館関係者など110名が集まった。私はルワンダと取引のある企業の代表として招待された。 1994年のルワンダ大虐殺。国民の10人に1人が殺されるというジェノサイドは歴史上にも類がない。100万人もの人が虐殺されたこの歴史的な事件は、世界中に大きな衝撃を与えた。 その追悼式典の冒頭で語られた、チャールズ・ムリガンデ駐日ルワンダ大使の示唆に富んだスピーチをご紹介したい。それはアフリカの未来と人類の未来に大きな希望と示唆を与えるものだった。 「ディアスポラ(帰還難民)」たちが成し遂げた驚異的な復興 少々前置きをしておこう。 ルワンダと聞いて、その語感からアフリカの一国でありそうなことは何となく分かりそうなものであるが

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  • 北朝鮮を生まれ変わらせるのは良質な労働者たち 国境と国益(第4回) | JBpress (ジェイビープレス)

    この記事は、北朝鮮が沖縄南西諸島の先のフィリピン沖に向けて「宇宙ロケット」名目の弾道ミサイルを発射した4月13日に執筆している。午前7時40分頃に発射されたミサイルは、米早期偵察衛星の情報によると、大気圏を脱したものの第1段ロケットの切り離しができず爆発して四散したとのことだ。韓国国防省や我が国の防衛省もこれを追認した発表をしている。「打上げ失敗」が真相と言えよう。 ここ数日の日テレビニュースは、ミサイル発射準備と並行して進む「北朝鮮建国の父」金日成主席の生誕100周年記念行事(4月15日が誕生日とされる)に向けての作業にあたる北朝鮮の人々の様子や、朝鮮労働党第一書記に就任するなど着々と最高権力者としての体裁を整えられていく3代目指導者・金正恩氏の動向を盛んに伝えてきた。 さらに南西諸島や東京に展開した自衛隊のPAC3迎撃ミサイルの状況、ミサイルの上空通過を心配する宮古島の市民の声も画

    北朝鮮を生まれ変わらせるのは良質な労働者たち 国境と国益(第4回) | JBpress (ジェイビープレス)
  • インターネットに怯えるフェイスブック

    (2012年4月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) マーク・ザッカーバーグ氏が今週、守りの姿勢を強めたのは無理からぬことだ。同氏は1年半前に設立された写真共有サイト、インスタグラムによるフェイスブックへの脅威を取り除くのに10億ドルを支払うことになったが、その一方で、かつてインターネット業界に君臨した巨人たちが貶められていたからだ。 ここ5年間で5人目となる最高経営責任者(CEO)による新たな組織再編計画が明らかになったヤフーと、800件の特許を11億ドルでマイクロソフトに売却したAOLの2社は、ヘッジファンドから攻撃されている。両社の企業価値は、インターネットバブルに沸いた1990年代に比べると微々たるものになっている。 早送りのような急ピッチで進む創造的破壊 シリコンバレーは昔から競争の激しい世界だった。しかし、交流サイト(SNS)ブームの後期における参入障壁は極めて低く、その一

  • 松下政経塾はもういらない 日本を混迷に導いた壮大な「幻想」と小粒政治家たち | JBpress (ジェイビープレス)

    政治家になるための塾」が大流行している。橋下徹・大阪市長による「維新政治塾」をはじめ、河村たかし・名古屋市長の「河村たかし政治塾」、大村秀章・愛知県知事の「東海大志塾」などが続々と設立されている。 これらの塾には“元祖”と呼べる存在がある。松下電器(現パナソニック)創業者の松下幸之助が1979年に設立した「松下政経塾」である。 民主党の国会議員28人が政経塾出身 政経塾は今や政界きってのブランドだ。同塾出身の国会議員は、現職首相の野田佳彦(松下政経塾1期)を筆頭に38人にも上る。加えて県知事1人を含め10人の地方自治体首長、29人の地方議員も誕生している。 とりわけ政権与党の民主党とは縁が深く、政経塾出身の国会議員も28人が同党に所属する。しかも彼らは揃って若い。54歳の野田の世代が最も上で、30~40代の現職議員も数多い。前原誠司(8期)元外相、玄葉光一郎(8期)外相、樽床伸二(3期)

    松下政経塾はもういらない 日本を混迷に導いた壮大な「幻想」と小粒政治家たち | JBpress (ジェイビープレス)
  • ヨーロッパ人を生み出せない欧州 EU諸国の市民は危機下で国家主義に回帰

    (2012年4月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 「イタリアを造った今、我々はイタリア人を創造せねばならない」。イタリアの知識人マッシモ・ダツェリオは1861年のイタリア統一直後にこう語った。現世代の欧州連合(EU)の政治家たちはダツェリオのジレンマの現代版に直面している。EUをつくった彼らは、今度はヨーロッパ人を創造しなければならないのだ。 ユーロを救うために欠かせない集団アイデンティティー 集団アイデンティティーの形成には通常、何世代もの長い時間が必要となる。だが、欧州の政治家はもう、時間という贅沢が許されていない。 EU域内に暮らすおよそ5億人の市民を説得して、自国よりも欧州に強い愛着を覚えさせることができなければ、政治家はユーロを救うために必要な措置を講じられないかもしれないのだ。 大半のアナリストは、ユーロが存続するためには、今よりはるかに大規模な欧州連邦予算と共同債(ユ

  • 日本の地熱エネルギー:温泉vs発電の熱い戦い

    (英エコノミスト誌 2012年4月7日号) 「清潔な身体」vs「クリーンエネルギー」 日に行ったことがある人なら誰でも知っているように、温泉での入浴には厳格なルールがある。湯船に浸かる前には身体を洗わなくてはならず、水着は禁止、そして刺青もタブーだ。しかし、温泉業界の影響力は湯船をはるかに超えて広がっている。 温泉の所有者たちは数十年間にわたって、莫大な潜在的クリーンエネルギー源である地熱の開発を封じ込めてきた。彼らは火山国の日で熱した帯水層に手を加えたりしたら、温泉が枯渇し、汚染が進み、大切なくつろぎの空間が損なわれると主張する。 しかし、日が原子力発電を失う瀬戸際にある中で、新たなエネルギー源に対する要望は抗し難くなっている。 原子炉20基分の地熱エネルギーが眠る国 東芝、三菱重工業、富士電機という日企業3社で地熱タービンの世界市場の半分以上を支配しているにもかかわらず、日

  • 行って分かった中国の農村の急速な変貌 残された老人たちが食料をフル生産 | JBpress (ジェイビープレス)

    中国の農村と聞いて多くの人は暴動や貧困の話なのではと思うかもしれない。しかし、今回は暴動や貧困の話ではない。急速に変貌する中国の農村について書いてみたい。 2012年3月、北京から西南の方向に車で3時間ほど、河北省の旧省都である保定に近い農村を訪ねる機会があった。 北京や上海が急速に発展し高層ビルが林立する都市に変貌したことは多くの人が知っていると思うが、農村も急速に変化している。日の農村が戦後70年かけて行ってきたことを、中国はここ10年ほどで成し遂げてしまった。 今回の訪問でまず驚いたのが、中国におけるインフラ整備の速さだ。一昔前の中国では車線が明確でないことから、乗った車が遅い車を追い抜くたびに、対向車と正面衝突するのではないかとヒヤヒヤしたものだ。 しかし、今回はそんな恐怖を体験することはなかった。それは片道4車線もある高速道路が出来上がっていたためだ。路肩には「香港 2253k

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  • エルピーダとは一体何だったのか 半導体の歴史の中で俯瞰してみる | JBpress (ジェイビープレス)

    エルピーダの経営破綻から1カ月がたった。半導体業界は別にして、世の中ではエルピーダ倒産など過去の些細な出来事になっているように感じる。もはや週刊誌ネタにもならず、このまま忘れ去られていくのだろうか。 私の中では、いまだにその余韻がくすぶり続けている。経営破綻の発表があった2月27日の週、ほとんど寝ずに6の原稿を書きまくった狂乱状態からは脱したものの、今なお、「なぜ破綻したのか?」「なぜ破綻を回避できなかったのか?」「経産省は何をしていたのか?」「坂社長がそのまま居座り続けていいのか?」「どうしたら再建できるのか?」など、後から後から、疑問がわいてくる。 稿では、先月の記事よりいささか冷静になってエルピーダ経営破綻を見直してみたい。特に、半導体の歴史の中で、エルピーダとは一体何だったのかを考えてみたい。 設立から倒産まで、エルピーダの12年間の軌跡 図1に、1999年12月にエルピーダ

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  • 打ち砕かれた「対日陰謀」論、TPPを推進する米国の本当の狙いとは | JBpress (ジェイビープレス)

    TPPは日語では一般に「環太平洋戦略的経済連携協定」と訳されている。しかしTPPとはそもそも「Trans-Pacific Partnership」、つまり「環太平洋パートナーシップ」の頭文字を取った略である。「太平洋の周辺地域のパートナーシップ」というこの表現の方がTPPの質を知るためには、ずっと分かりやすいだろう。 このパートナーシップは太平洋に面した諸国の経済の連携であり、特に貿易面での相互の自由化を目指す。母体は従来の自由貿易協定だが、その「自由」を拡大し、関税や輸入割当をゼロにすることまでを目標とした「21世紀型の自由貿易圏構想」とも評される。 このパートナーシップにはすでにオーストラリア、ブルネイ、チリ、マレーシア、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、米国、ベトナムの9カ国が加盟を決めている。日は加盟か不加盟かを決めるための協議に加わった、というわけだ。 日から奪い絞

    打ち砕かれた「対日陰謀」論、TPPを推進する米国の本当の狙いとは | JBpress (ジェイビープレス)
  • 数千年の歴史が雄弁に語る、内戦勃発必至のイラク あの戦争は何だったのか~一神教世界の研究(その4) | JBpress (ジェイビープレス)

    残念ながら、バグダッド・アラブ首脳会議の主催国イラクに関する報道は驚くほど少なかった。 ヌーリー・マーリキー首相にとっては戦後の治安改善やアラブ世界への復帰をアピールする絶好の機会だったが、「シリアが欠席し、国家元首出席も10人にとどまるなど盛り上がりに欠けた」との報道が最も実態に近いようだ。 マーリキー政権がこの首脳会議開催に投入したエネルギーは並大抵でなかったろう。現在もバグダッドの治安は最善でも「不安定」であり、運が悪ければ「最悪」となる。 こうした状況は大きく変わっていない。このような危険な首都でアラブ首脳会議を開くためには物的、人的に膨大な資源が費やされたはずだ。 主催国だったにもかかわらず、今回の首脳会議でイラクは主導権を握ることができなかったらしい。主要議題であるシリア問題について、イランに近いイラクは介入に消極的だと言われ、強硬派のチュニジアやリビアとの対立が深まったことも

    数千年の歴史が雄弁に語る、内戦勃発必至のイラク あの戦争は何だったのか~一神教世界の研究(その4) | JBpress (ジェイビープレス)
  • 「失われた道徳心」が中国の国家的問題に 経済成長を追いすぎた弊害に中国人も危機感 | JBpress (ジェイビープレス)

    3月13日、中国で人民政治協商会議の第11期全国委員会第5回会議が閉幕した。バブルの絶頂期を経た中国は、今、新たな時代を迎えつつある。 政策の軸足は「民」の生活へと移り変わろうとしている。今まで陽の当たらなかった「民」の声を拾うようにと、会議は8つの問題点を取り上げた。 (1)住宅価格と固定資産税改革、(2)物価、(3)収入格差、(4)“老三難”と言われる教育、医療、失業問題、(5)品の安全性、(6)スクールバスの安全性、(7)ミニブログと社会の管理、(8)道徳心の喪失、がそれである。 今、13億の国民の不満はここに集中している。 倒れている人を助けない中国社会 この中で興味深いのは最後の「道徳心の喪失」だ。「道徳心の喪失」はここに来て浮上してきた新しい社会問題である。上海でも社会道徳の欠如を嘆く声が日増しに強まっており、中国政府もまたこれを重視している。 2011年10月の広東省広州市

    「失われた道徳心」が中国の国家的問題に 経済成長を追いすぎた弊害に中国人も危機感 | JBpress (ジェイビープレス)
  • 中国版ツイッターで書き込み機能を一時停止 当局、「うわさの流布」排除を強化 | JBpress (ジェイビープレス)

    このいずれもが声明を出しており、3月31日から4月3日の間、投稿のコメント書き込み機能を停止すると発表している。 「有害なうわさを一掃するため」としているが、中国国営新華社通信によると理由は「うわさの流布を許したことに対する処罰」だという。 米フォーブスは、国家インターネット情報局の報道官の話として、シナとテンセントのミニブログは北京市と広東省の当局の制裁を受けたと伝えている。 これに先立ち新華社通信は、「軍用車両が北京市に入った。不穏な動きが起きている」といったクーデターのうわさを流したとして当局が、16のウェブサイトを閉鎖し、6人を拘束したと伝えていた。今回のミニブログに対する措置もその一環と見られている。 同国では、3月15日に薄熙来(はくきらい)前・重慶市共産党委員会書記が解任されたと伝えられたが、その後、「薄氏の解任に反発した周永康党政治局常務委員が党執行部に造反を謀り、クーデタ

    中国版ツイッターで書き込み機能を一時停止 当局、「うわさの流布」排除を強化 | JBpress (ジェイビープレス)
  • 20年かけて売上を10倍にした町工場 奇跡なき経営改革がものづくりを強くする | JBpress (ジェイビープレス)

    の製造業の凋落が叫ばれる中、イノベーションの条件がよく議論される。再び世界市場で競争力を取り戻すために、イノベーションの実現は確かに大きな課題だ。 しかし同時に、今こそ足元を見つめ直すことも必要なのではないか。品質を磨き上げ、生産性をとことん高めるという日製造業の来の強さが失われては元も子もない。 今回、紹介するのは、この20年で売り上げを10倍に伸ばした町工場の話である。 その町工場は、画期的な新製品やサービスを生み出したわけではない。天才的な技術者もいなければ、胸のすくような一発逆転もなかった。26歳の若さで入社した創業者の孫が様々な「師」に出会って経営を学び、じっくりと時間をかけて改革を積み重ねた成果である。

    20年かけて売上を10倍にした町工場 奇跡なき経営改革がものづくりを強くする | JBpress (ジェイビープレス)
  • 欧米に広がるアジアのイノベーション

    (英エコノミスト誌 2012年3月24日号) フルーガル(倹約、質素)の発想が東洋から西洋へ広がっている。 世界一安い車「タタ・ナノ」は2009年に1台目が生産される前からシンボルになっていた。インドで最も尊敬されているコングロマリット(複合企業)のタタ・グループは、ナノをまさに革命そのものと喧伝した。 フルーガルイノベーションは様々な消費財を普通のインド人や中国人の手にも届くようにしてくれる。2000ドルの車はその前触れに過ぎない。 アジアの技術者たちは欧米諸国の製品を再考し、不要な装飾をすべて剥ぎ取って作り替える。コスト削減は莫大なものになるため、フルーガルな発想は世界を征服するだろう。かつてトヨタ自動車が日の到来を告げたように、ナノはインドの到来を告げる――。 期待外れのナノが意味すること 悲しいかな、そんな奇跡の車は初めからトラブルの連続だった。地元農家の抗議行動のせいで、タタ・

  • LEXコラム:シャープに出資する鴻海の計算

    フォックスコンの名でも知られる鴻海精密工業はなぜ、低迷するテレビメーカー、シャープの株式を10%取得して日に対する最大の賭けに出るのか?  シャープ株の取得に個人のお金まで出す鴻海の創業者兼CEO(最高経営責任者)の郭台銘氏は、賢く立ち回っているのだ。 世界最大の電機メーカー(そしてアップル製品の主要組立業者)である鴻海は、シャープのテレビ技術を必要としている。鴻海は今回の提携で合意された、液晶パネルを製造する堺工場の共同経営を通じてシャープのテレビ技術を直接得られる。 確かに、大型ディスプレーの供給が過剰で需要が減少しているために、堺工場は生産能力の半分のペースで稼働している。だが、郭氏にとっては、これは長期的な防衛策だ。 アップル依存からの脱却 鴻海は「iPhone(アイフォーン)」や「iPad(アイパッド)」を生産することで、売上高の4割をアップルに依存している。だが、iPhone

  • インド経済:魔力を失いつつある国

    (英エコノミスト誌 2012年3月24日号) インドが膨大な経済的潜在力を発揮するのを政治が邪魔している。 インドは大きな数字の国だ。10億人を超える人口、100万件の暴動、1000の言語を抱える場所である。だが、1947年の独立以来、2種類のインド経済しかなかったと言っても過言ではないだろう。 1つ目の経済は、怠惰な成長、気がおかしくなるようなお役所仕事、息が詰まるような官僚主義を生み出した。2つ目の経済は、1990年代の自由化の後に徐々に回転速度を上げ、その結果、インドは2000年代半ばまでに楽観論が一気に広がる国になった。つまり、外に向けて開かれ、後退しているとはいえまだ厄介な公的部門を克服した起業家に満ちた国だ。 インドは、有利な人口動態や意欲的な企業、漸進的な改革、貯蓄意欲と投資意欲のおかげで、急成長のロングスパートを享受する運命にあるように見えた。 ところが最近、絶対に死のうと

  • 原発停止の影響に苦しむドイツ

    (2012年3月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) ドイツの原子力発電の段階的廃止の第一線にいる人々は、電気が消えないようにするために日々苦労していると話す。 国内にある原子力発電所の半分が閉鎖されてから1年半。政府は今後10年間で進める再生可能資源による電力への転換は、予定通りに進んでいると主張する。だが、多くの専門家は、実際やってみると移行は難しいと言う。 冬は何とか乗り切ったが・・・ 「冬は何とか乗り切った」。ドイツに4つある地域高圧送電網の1つを運営するオランダ企業テネットで、北部コントロールセンターの責任者を務めるフォルカー・ヴァインライヒ氏はこう話す。 「だが我々は幸運だったし、今はもう、できることの限界に近づいている」 ハノーバー郊外にある何の変哲もない低層ビルに拠点を構えるヴァインライヒ氏と同僚たちは2011年に、北海とアルプス山脈を結ぶテネットのケーブルの電圧を維持