「サイバー空間」を浮遊し、遠隔操作ウイルスという新たな手口で、警察を翻弄し続けた片山祐輔(ゆうすけ)容疑者(30)。だが、最後は「現実空間」の防犯カメラに追い詰められた。警視庁などの合同捜査本部は、記録媒体が見つかった神奈川県藤沢市の江の島の防犯カメラを徹底解析し、ついに片山容疑者の“しっぽ”をつかんだ。 「この防犯カメラの性能はすごい。これがなかったらと思うとぞっとする」 1月中旬ごろ、合同捜査本部の捜査員は、江の島に設置された防犯カメラの映像が送られるモニター室で、地元の関係者に向かって興奮気味に、こうまくし立てた。江の島には昨年12月下旬、商店街での万引防止などを目的として、最新鋭の防犯カメラ35台が設置されたばかりだった。「現実空間」に姿 カメラは全て国内の大手メーカー製。特に人通りの多い場所に設置された3台は360度を見渡せる半球状で、「カメラに写らずに島内を歩くのは不可能」。