ブックマーク / honz.jp (33)

  • 『死の貝 日本住血吸虫症との闘い』著者、小林照幸にあの頃のこと訊く - HONZ

    死の貝:日住血吸虫症との闘い (新潮文庫 こ 28-2) 作者: 小林 照幸 出版社: 新潮社; 文庫版 発売日: 2024/4/24 小林照幸『死の貝 日住血吸虫症との闘い 』(新潮文庫)が注目されている。4月24日に上梓されて以来、現在4刷、累計2万6千冊のスマッシュヒットだ。26年前の1998年に出版されたが、なぜいまこんなに注目を浴びているのか。以前より小林照幸のを”激推し”してきた東えりかと、医学者・仲野徹が話を聞いた 仲野 『死の貝』は昔読んだ記憶があったけれど、文庫化されたのも20年以上時間が経ってからだし、こんなに注目されることってある?と不思議になりました。どうして突然文庫化されたんですか? 小林 それは新潮社さんからご説明頂きましょうか。 編集部 もともと新潮社の営業部と未来屋書店で、月に一回、情報交換の定例会議をしています。そのなかで女性書店員さんが「そういえ

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    yag_ays 2024/07/01
  • なんたるガッツ!『明治を生きた男装の女医』がスゴすぎる - HONZ

    高橋瑞(たかはし みず)、嘉永5年(1852年)生まれ。その名を知っている人はどれくらいいるだろう。日で三番目に医師国家資格を取得した女性である。『明治を生きた男装の女医』は、その人生を丹念に綴った伝記小説だ。 24歳にして家出、旅芸人の賄い、女中、短く不幸な結婚の後、産婆に弟子入りする。28歳の時、跡継ぎになれと誘われるが、女医になりたいと固辞する。しかし、女性にはその資格がないことを知り、まず内務省へ直接請願に行く。すごい行動力だ。ちなみに、取り上げた赤ん坊は2万人という。 済世学舎への入学を希望するが、女子学生を受け入れたことがないために難色を示される。粘り勝ちするも、「女医は不可」、「乞」、「行かず後家」などと黒板に書かれるなど、下劣な嫌がらせをうけ続ける。 そんなことはものともせず、無事に修了し、順天堂医院で実習をすませ、34歳にして医師となる。荻野吟子、生沢久野に次ぐ、日

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    yag_ays 2020/08/23
  • 『サカナとヤクザ』ニッポンの食卓を支える、魑魅魍魎の世界 - HONZ

    裏社会のノンフィクションはこれまで何冊も読んできたが、最も面白みを感じるのは無秩序のように思える裏社会が、表社会とシンメトリーな構造を描いていることに気付かされた時だ。 しかしここ数年は暴対法による排除が進み、ヤクザの困窮ぶりを伝える内容のものばかり。相似形どころか、このまま絶滅へ向かっていくのかとばかりに思っていた。だから彼らがこんなにも身近なところで、表社会とがっちりスクラムを組んでいるとは思いもよらなかったのである。 書は、これまでに数々の裏社会ノンフィクションを描いてきた鈴木智彦氏が、サカナとヤクザの切っても切れない関係を、足掛け5年に及ぶ現場取材によって描き出した一冊だ。 これまでなぜか語られることのなかった品業界最大のタブーを真正面から取り上げながら、一ミリの正義感も感じさせないのが、著者の真骨頂である。そして、もはやヤクザの世界に精通していなければ読み解けないほど、サカナ

    『サカナとヤクザ』ニッポンの食卓を支える、魑魅魍魎の世界 - HONZ
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    yag_ays 2018/10/06
  • 『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』ロシア史上最悪の遭難怪死事件に挑む - HONZ

    一般に、は読めば読むほど物知りになれると思われがちだが、実際は逆だ。読めば読むほど、世の中はこんなにも知らないことであふれているのかと思い知らされる。その繰り返しが読書だ。 「ディアトロフ峠事件」をぼくはまったく知らなかった。これは冷戦下のソヴィエトで起きた未解決事件である。 1959年1月23日、ウラル工科大学の学生とOBら9名のグループが、ウラル山脈北部の山に登るため、エカテリンブルク(ソ連時代はスヴェルドロフスク)を出発した。 男性7名、女性2名からなるグループは、全員が長距離スキーや登山の経験者で、トレッキング第二級の資格を持っていた。彼らは当時のソ連でトレッカーの最高資格となる第三級を獲得するために、困難なルートを選んでいた。資格認定の条件は過酷なものだったが、第三級を得られれば「スポーツ・マスター」として人を指導することができる。彼らはこの資格がどうしても欲しかったのだ。 事

    『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』ロシア史上最悪の遭難怪死事件に挑む - HONZ
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    yag_ays 2018/09/07
  • 『「自然」という幻想 多自然ガーデニングによる新しい自然保護』 - HONZ

    世界の自然保護は、大論争と新しい希望の時代に入った感がある。人の暮らしから隔絶された 「手つかず」の自然、人の撹乱を受けなかったはずの過去の自然、「外来種」を徹底的に排除した自然生態系、そんな自然にこそ価値ありとし、その回復を自明の指針としてきた伝統的な理解に、改定をせまる多様な論議・実践が登場している。 ここ10年ほど、その新時代を展望する出版が英語圏で目立っている。一端は関連の翻訳書(ピア ス『外来種は当に悪者か』〔草思社〕など)を通して我が国にも波及しているが、実は2011年に出版された書の原書Rambunctious Garden: Saving Nature in a Post-Wild World (Bloomsbury)こそ、 新時代到来を告げただった。著者エマ・マリスは、ネイチャー誌をはじめとする専門誌を舞台に、崩壊する古い論議、新しい実践、そして新しい自然のヴィジョ

    『「自然」という幻想 多自然ガーデニングによる新しい自然保護』 - HONZ
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    yag_ays 2018/07/16
  • 『サルたちの狂宴』 - HONZ

    IT企業やシリコンバレーの世界を描いたは数多くあります。イノベーションを起こした企業の サクセスストーリーや仕事術について書いたなどが主流ですが、同じシリコンバレーを舞台にしていても書はかなり異色です。著者のアントニオ・ガルシア・マルティネスは物理学の博士課程を中断し、ウォール街のトレーディングデスクで働いていましたが、2008年の金融危機を目の当たりにして「アメリカ経済の終焉がきても生き残る」と感じたシリコンバレーへやってきます。そこで中堅スタートアップの社員、スタートアップ創業者、Facebookの社員という三つの仕事を通して奮闘した約5年の体験を、痛烈な皮肉と暴露、そして、ユーモア満載で語りつくしたのが書です。人がラジオのインタビューで「このは心地よく優しくはないが、それはシリコンバレーが心地よく優しい場所ではないからだ」と述べていて、なかなか挑戦的です。 書は2016

    『サルたちの狂宴』 - HONZ
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    yag_ays 2018/07/01
  • 月1億8000万円稼いだ『ストリップの帝王』の栄枯盛衰 - HONZ

    文字通り「ストリップ産業の帝王」となった男の評伝だが、タイトルだけで敬遠すると損をする一冊かもしれない。 冒頭から過激だ。ストリップ劇場に刃物を持って押しかけてきたヤクザを、病院送りにするところから物語は始まる。殺人2件、殺人未遂7件のヤクザを失神させる男とはどんな男かと想像は膨らむ。ストリップという産業からしても主人公はチンピラ崩れかと思われるかもしれないが、実は元銀行員。1941年生まれの瀧口義弘は子どもの頃から腕っ節は強く成績優秀。高校は進学校に進んだが、大学への進学を拒否し、地元九州の地方銀行に就職する。 運命を変えるのは一の電話だ。瀧口の親族は銀行員や公務員など堅い職業が多いが、なぜか姉がストリッパーだったことが人生を決定づける。30歳を過ぎた頃に、劇場の経理を電話一で依頼され、子を残し、1975年に上京する。もちろん、仕事への不満もあったようだが、常人には理解しがたい決断

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    yag_ays 2018/01/30
  • 『カレーライスを一から作る』米も、野菜も、肉も、食器も! - HONZ

    カレーライスを一から作る。そう聞けば「ふむふむ、市販のルーを使わずに、スパイスをアレンジするのかな」と、まずは思うのが普通のリアクション。で、隠し味とか一手間とか、なにか工夫やアイディアがあって、と。実際「カレーライスをつくる」「カレーライスを語る」というは数多ある。なにしろ国民。美味しく作るために、どれほど多くの人々が、どれほど多くの情熱を傾けてきたことか。 しかしこのはそうではないのだ。表紙に小さく書いてある「関野吉晴ゼミ」の文字に気づけば、ただのカレーライスではないことがわかるだろう。 関野吉晴さんといえば、人類の足跡をたどる旅・グレートジャーニー! 1995年から2002年までフジテレビで不定期放送されていた紀行ドキュメンタリーで、世界中を飛び回っていた探検家である。植村直己冒険賞受賞、人類学者であると同時に外科医でもある。この日が誇る探検家がカレーライスをどうしたって?

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    yag_ays 2018/01/24
  • 『性表現規制の文化史』えっちがいけないことなのは何故か - HONZ

    書、表紙が素敵なのだ。 裸の成人女性からうまい具合に乳首を隠したイラスト、線画の描写ゆえ生々しさはなく90年代に流行ったオシャレ系マンガの表紙のようである。 とは言えハダカはハダカ、サラリーマンばかりの通勤電車で読むのは平気だった私もさすがに目の前に小学生男子が立っている中では書の続きを読むのをためらった。 こんな風に感じるのは何も私だけではないだろう。そもそもたとえ乳首が隠されていたとしても裸の成人女性が描かれた表紙を人前で出すこと自体やりたくないという人も多いはずだ。(うん、屋さんでカバーかけて貰えるのってとっても大事かも)。 この「通勤電車ならいいや」と「でも小学生男子には刺激が…」の線引きをしている私の気持ちは一体どこから生じているのだろうか。 えっちなのは、いけません! 我々(少なくとも私は)はそう刷り込まれている。だから、公共の場でえっちなイラストの表紙のを出すのがため

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    yag_ays 2017/09/13
  • とてつもなく変態で、ありえないほど文章がうまい──『動物になって生きてみた』 - HONZ

    どうやったら、我々人間は動物の感覚にもっと近づくことができるのだろう。たとえばアナクマのように巣穴で眠り、森を徘徊して獲物を物色する。たとえばカワウソのように水辺に住んで魚やザリガニをべて生き、ツバメのように空を飛び、糞を撒き散らす。そうやって動物たちと同じように生きたら、彼らがみている世界を追体験できるのではないだろうか? そんな、言っていることはわからないでもないが自分でやろうとは思わないことをまともにやってしまった狂人が、書の著者であり、2016年のイグノーベル賞の生物学賞を受賞したチャールズ・フォスターである。狂人とは言い過ぎで、著者に対する敬意を欠いているのではないか? と思うかもしれないが、この記事を読み進めてもらえればその事実が把握いただけると思う。 人間とキツネなど他の動物たちとの間には境界があると著者はいう。それは当然だ。我々はキツネと子どもを作ることはできないし、カ

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    yag_ays 2017/09/05
  • 親バカ(?)池谷裕二パパの神経科学的な育児日記 『パパは脳研究者 子どもを育てる脳科学』 - HONZ

    多くはないけれど、著者とタイトルを見ただけで絶対おもしろいだろうと思えるがある。このがまさにそれだ。脳科学研究の第一人者であり、これまでに『海馬』や『単純な脳、複雑な「私」』といったヒット作をたくさんものにしている池谷裕二さんが、自分の育児について愛情たっぷりに書くんだから、おもしろくないはずがない。 もうひとつ、個人的にそそられる理由がある。1年少し前に初孫のさとしが生まれたのだ。およそ週一回ほどの割合で会うのだが、その成長には驚かされるばかりである。自分の娘たちの時もそうだったはずなのだが、それがさっぱり思い出せない。 イクメンだったとは言わないが、それなりに子育てはしていた。けれども思い出せないのだ。忙しすぎて、子どもの成長を楽しむ余裕がなかったのかもしれない。しかし、それだけではないと思っている。たぶん、30年前は脳科学の研究があまり進んでいなかったから、今のように科学的に成長

    親バカ(?)池谷裕二パパの神経科学的な育児日記 『パパは脳研究者 子どもを育てる脳科学』 - HONZ
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    yag_ays 2017/08/21
  • 『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』受け身であること、それは最高のエンターテイメントである - HONZ

    「HONZで紹介するって、どんな基準で選んでいるんですか?」そう聞かれることは結構多いのだが、いつも歯切れの悪い回答になってしまう。 むろん小説はのぞくとか、いかにもなビジネス書は紹介しないとか、ジャンルとしての縛りは色々あるのだが、それだけが重要なわけではない。要は、難解なサイエンスや分厚い歴史ばかりをスラスラ読みこなす小難しい集団、そんな風に思われることは絶対に避けたいのだ。 しかし今なら一冊のを差し出しながら、「こんなだよ」と自信を持って伝えることが出来るだろう。それが書『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』だ。 無駄に面白いーーこれ以上の贅沢が考えられるだろうか? 単に鳥類学の普及が目的というだけであれば、ここまで面白くする必要はなかったはずだ。著者の川上和人氏は、森林総合研究所で研究に勤しむ鳥類学者。以前『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』をHONZでもしつこいく

    『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』受け身であること、それは最高のエンターテイメントである - HONZ
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    yag_ays 2017/04/20
  • 『進化の教科書 第1巻 進化の歴史』 進化入門の決定版 - HONZ

    ハーバード大学やプリンストン大学をはじめ、全米200以上の大学で採用さている教科書『Evolution: Making Sense of Life』の邦訳3分冊の第1巻である。「教科書」といっても、書は議論の余地のない事実が淡々と積み上げられた退屈なものではない。原著者は『ウイルス・プラネット』等で知られる大人気サイエンスライターのカール・ジンマーと『動物たちの武器』のモンタナ大学教授ダグラス・J・エムレンであることからも分かるように、科学読み物としての楽しさを保ちながら、確かな知識を与えてくれる内容となっているのだ。またAmazon.comでは『Evolution』の価格は12,000円以上と高価だが、この第1巻はフルカラーの図を多く含みながら、1,680円(税別)だというのだから買うしかない。さらに、邦訳者の1人には、『化石の生物学者』の著者であり『ネアンデルタール人は私たちと交配し

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    yag_ays 2016/12/13
  • 『ジビエ教本 野生鳥獣の狩猟から精肉加工までの解説と調理技法』自分で獲って、自分で捌く - HONZ

    ジビエレストラン「LA CHASSE(ラシャッス)」がどこにあるか直ぐに分かる人はかなりの通である。住所は港区六木三丁目で、泉ガーデンの首都高環状線を挟んで向い側の、先日オープンしたばかりの六木グランドタワー(六木三丁目東地区計画)の直ぐそば、六木通りから少し入った寄席坂の上の方にある。この都会の喧騒の中にポツリと佇む隠れ家レストランをわざわざ訪れるのは、かなりのジビエ好きである。 「ジビエ」とは野生の鳥獣のことで、転じて、それらの料理を指す言葉としても用いられる。つまり、鴨、山鳩、山鶉、雉子、雷鳥、蝦夷鹿、熊、兎、猪など野生の材を使った料理が「ジビエ料理」である。高タンパク低カロリーで肉の旨みの詰まったジビエ材は、日でもここ最近急速に人気が高まっている。 ワインとの取り合わせをソムリエ試験的に言えば、「羽のジビエはブルゴーニュの高級な赤ワイン、毛のジビエの煮込みは南西地方か

    『ジビエ教本 野生鳥獣の狩猟から精肉加工までの解説と調理技法』自分で獲って、自分で捌く - HONZ
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    yag_ays 2016/09/30
  • 『科学の発見』なぜ、現代の基準で過去を裁くのか 解説 by 大栗 博司- HONZ

    書は、物理学者スティーヴン・ワインバーグがテキサス大学で行ってきた科学史の講義に基づいた著書の邦訳である。『科学の発見』というタイトルが示すように、個々の科学的事実の発見の歴史ではなく、科学の方法それ自身の発見に重点を置いていることが特徴だ。ワインバーグは、「現代科学の実践を見たことがない人にとって、その方法は何一つとして明らかではないのである」と語り、人類がいかにして科学の方法を習得したのかを明らかにしようとする。 一読して驚くのは、ワインバーグが、科学の方法が確立する以前に自然を探求していた人々の間違いを、遠慮会釈なく指摘していることだ。古代ギリシアの「タレスからプラトンに至る思想家」は、「誰も、自分の理論を実際に確かめようとしていない」。彼らは、「自分が真実だと信じていることを明確に述べるためというよりは、美的効果のために選択された文体」を使う詩人であり、観察や実験によって自らの理

    『科学の発見』なぜ、現代の基準で過去を裁くのか 解説 by 大栗 博司- HONZ
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    yag_ays 2016/05/19
  • 『ペルシア王は天ぷらがお好き?』言語学から見る食の歴史には、驚きがいっぱい! - HONZ

    天ぷらの語源がポルトガル語の「調理」を意味する「tempero」だとされることは、今日では多くの人の知るところであろう。しかし、この天ぷらという料理の起源をたどると、古代ペルシアの「シクバージ」と呼ばれる肉の甘酢煮料理にたどりつくことを、どれほどの日人が知っているだろうか。書はスタンフォード大学で言語学とコンピューターサイエンスを教える教授が言語学の観点から、料理にまつわる様々な歴史的事象を面白おかしく、多くのトリビアを織り交ぜながら紐解いていく、一風変わった作品だ。 さて、話を天ぷらに戻そう。ここまで読んで多くの人は、なぜ肉の煮込み料理であるシクバージが揚物になったかという事に疑問を持つであろう。この問題の鍵は酢という材と船乗りたち、そして中世キリスト教の厳しい戒律にあるという。ササン朝ペルシアの王ホスロー一世の大好物であったシクバージは宮廷料理らしく非常に手の込んだ煮込み料理だ。

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    yag_ays 2015/11/18
  • 『コネクトーム 脳の配線はどのように「わたし」をつくり出すのか』 - HONZ

    心をつかさどっているのは心臓であると、かつては広く信じられていた。心臓はドクドクと拍動する特別な臓器であるうえに、気持ちが高ぶれば鼓動が速まりもするから、そう考えるのはごく自然なことだったろう。エジプトでミイラを作る際にも、心臓は大切に取り出され、別個にミイラ化されたのに対し、脳は、耳や眼窩、あるいは頭蓋にあけた小さな穴から搔き出され、捨てられていたようだ。人びとは古来、心の働きに多大な関心を寄せてきたが、脳がいったい何のためにあるのかはわからないままだった。 脳の研究と言えるようなものがはじまったのは、長い歴史をもつ人類の知の営みの中では、ごく最近のことでしかない。ようやく18世紀になって、人の性格や能力を脳に結びつける「骨相学」の考えが生まれた。19世紀になると、細胞に色をつける染色技術が発明されたおかげで、脳もまた多くの細胞からできていることが明らかになった。それは脳研究にとって画期

    『コネクトーム 脳の配線はどのように「わたし」をつくり出すのか』 - HONZ
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    yag_ays 2015/11/18
  • 家の前に大きなピレネー犬が倒れていた! さあどうする?『その道のプロに聞く 生きものの持ちかた』 - HONZ

    朝、会社に行こうと玄関のドアを開けたら、大きなピレネー犬が倒れていた。大変だ、病院に運ばなきゃ! でも、こんな大型犬、どうやって持てばいいの?? 大ピーンチ!! ……って、「普通じゃ~ん」と思ったあなた、い~えいえ違うのです。これは互いの腰に負担をかけず、犬が暴れてもキックされにくく、万が一、落としても着地の危険が少ない、という、じつに考え尽くされた持ち方なのだ。 これで、通りかかった配達のお兄さんから台車を強奪する必要もなくなった。当によかった、このがあって!! と、若干妄想が入りましたが、書は身近なペットから危険生物まで、獣医さんやペットショップのオーナーさんなどその道のプロが「正しい持ち方」を写真で伝授してくれる、『家庭の医学』並みに一家に一冊必備されてもよい実用的ななのである。 たとえば光る竹を切ってみたら、かぐや姫のようなオオコノハズクが出てくること、たまにありますね。小

    家の前に大きなピレネー犬が倒れていた! さあどうする?『その道のプロに聞く 生きものの持ちかた』 - HONZ
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    yag_ays 2015/09/26
  • 『ホワット・イフ? 野球のボールを光速で投げたらどうなるか』 - HONZ

    「すべての人間が一カ所に集まってジャンプしたらどうなるか?」など、ふと気になっても、「いや、そんなことはありえない」と、うっちゃってしまうような疑問や、「周期表を現物の元素で作ったらどうなるか?」など、突拍子もない疑問に、科学と数学と、シンプルな線画のマンガを使って答えるアメリカでは、サイエンス系のとしては破格の大ヒットで、ニューヨークタイムズのベストセラー・リストに34週連続で載った。 著者のランドール・マンローは、大学で物理学を学んだあとNASAでロボット工学者 として働いた人物。現在はフルタイムのウェブ漫画家で、「恋愛と皮肉、数学と言語の ウェブコミック」、xkcdというサイトを運営している。そこから派生した読者投稿サイト、xkcd What If が書のベースだ。マンローは投稿される疑問に、数学と科学、そして「ユーモア力」を駆使して、あっと驚くような答えを出す。その過程で、

    『ホワット・イフ? 野球のボールを光速で投げたらどうなるか』 - HONZ
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    yag_ays 2015/06/23
  • 『二重螺旋 完全版』訳者あとがき by 青木薫 - HONZ

    世界を震撼させたドキュメントには、失われたピースが存在した。行方不明になっていたクリックの書簡、そして貴重な資料写真や図版を加えて、「分子生命学の夜明け」が再び蘇る。なぜ今、『二重螺旋 完全版』なのか? その出版までの経緯を、翻訳者の青木薫さんに解説いただきました。(HONZ編集部) 1953年の2月28日、ジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックは、DNAの二重螺旋構造を発見した。 それから15年後の1968年に、ワトソンはそのときの成り行きを綴った『二重螺旋』を発表する。そこに描かれていたのは、いまだ第二次世界大戦の爪痕の残る欧米を舞台とし、生命科学の景観を変えることになる発見をめぐるドラマだった。 物語の幕開けは、1951年の春。生命の謎を解きたいという野心を抱く、23歳のアメリカ人ジム・ワトソンは、たまたまナポリで開かれていた高分子学会に参加した折に、ロンドン

    『二重螺旋 完全版』訳者あとがき by 青木薫 - HONZ
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    yag_ays 2015/05/30