ブックマーク / honz.jp (22)

  • 「家族という密室」に戦慄する『母という呪縛 娘という牢獄』 - HONZ

    恐ろしいものを読んでしまった。 2018年、32歳の女性が母親の殺害と遺体損壊、遺棄の容疑で逮捕された。彼女の名前は高崎あかり(仮名)。あかりの母親は異様なほど娘の学歴に執着し、医学部を9年も受験させた。娘は浪人をしているその9年間ずっと母親の監視下にあり、執拗な虐待を受けていた。母親が医学部をあきらめたことにより、あかりは9年目に医科大学の看護学科に主席で入学、学生として過ごした後は大学の附属病院に看護師として内定を得ていた。あかりは母親を殺してから逮捕されるまでの2か月の間、看護師として働いていたが、周囲に気取られることはなかったという。 は、筆者の齊藤彩さんによる地の文と(齊藤さんの質問にあかりが答える形で作成されたらしい)、母と娘が交わしたラインのやり取りで構成されている。 あかりが母親を殺した直接の理由は、看護学科を卒業し内定を得、ようやく母親の束縛から逃れ自立できるというとこ

    「家族という密室」に戦慄する『母という呪縛 娘という牢獄』 - HONZ
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    yamaidare 2023/01/28
  • 『国商』権力と一体化した男の実像 - HONZ

    政商という言葉はあるが、国商は聞いたことがない。 政商とは、時の権力と結託して特別な利益を貪る商人のこと。国商はさしずめ国家と一体化した商人といったところか。 だいたい異名というのは、尾鰭のついた評判によって肥大化した虚像に対してつけられるものと相場が決まっている。だが書を読み進むうちに、国商とは実に鋭く故人の質を突いた呼称ではないかと思った。 2022年5月25日、葛西敬之が世を去った。享年81。JR東海に長く君臨した大物財界人であるとともに、近年は政界の黒幕としても知られた。安倍晋三の後見人として、憲政史上最長の政権を支え、内閣の主要閣僚から官僚の人事に至るまで助言したとされる。 葛西が支えた安倍も、参議院選挙の投票日を2日後に控えた7月8日、奈良県近鉄大和西大寺駅前で応援演説中に凶弾に斃れた。葛西の死からわずかひと月半後のことだった。 葛西と安倍が世を去った今、権力に空白が生じて

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    yamaidare 2022/12/24
  • 『妻はサバイバー』貴重な当事者たちの声 - HONZ

    川崎市の自宅で長男(当時37)を4カ月にわたって監禁したとして、両親と妹の3人が逮捕監禁容疑で逮捕された。長男には精神疾患があったとみられるが、医療機関は受診していなかったという。父親は容疑を認め「外に出して迷惑をかけたくないと思った」と供述しているという。(2022年2月1日朝日新聞) 世間は精神障害者に優しくない。世間体や迷惑をかけたくないと家族だけで精神疾患患者をケアした結果、この事件のように死に至らしめたという事件は珍しくない。 書の著者で朝日新聞記者の永田豊隆は、精神障害者にとっての世の中の障壁について、文でこう語っている。 それは社会の偏見であり、差別感情だと私は思う。段差と違って目に見えないが、強固だ 私は精神疾患患者とそれを支える家族の問題に関心があり、多くの関連書を読んできた。だが精神科の医師や施設側の視点で書かれたものが多く、当事者の声はなかなか表に出てこない。その

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    yamaidare 2022/05/10
  • 『キャッチ・アンド・キル』女性たちに「別の扉」を開いた画期的スクープの裏側 - HONZ

    映画業界の性加害報道が相次いでいる。週刊文春の報道をきっかけに被害にあった女性たちが次々に声をあげ、業界にはびこる性暴力の実態が明るみにでた。一部の良識ある映画監督や原作者たちも性暴力に反対するアクションを起こした。この流れは止まらない。かつてアメリカ映画業界を変え、世界にも影響を及ぼしたあの動きが、ようやく日にも波及したのかもしれない。 書の著者ローナン・ファローは、ハリウッドの大御所プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの性加害を報道し、#MeToo運動が生まれるきっかけをつくったジャーナリストのひとりである。 ワインスタインは映画界の大物だ。『セックスと嘘とビデオテープ』、『パルプ・フィクション』、『恋におちたシェイクスピア』といった独立作品を大成功に導いた立役者であり、若い俳優をスターダムに押し上げる能力にも長けていた。そこにはグウィネス・パルトロー、マット・デイモン、ジ

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    yamaidare 2022/04/25
  • 『当事者は嘘をつく』性暴力被害の「新しい語り方」を切り拓く - HONZ

    傷跡から血が滲み出ているような一冊だ。 読み終えた後もずっと「凄いものを読んだ」という余韻が消えない。早くも今年のベスト級の一冊に出会ってしまった。書は当事者ノンフィクションの傑作である。 著者は「修復的司法」の研究者である。修復的司法というのは、1970年代に欧米を中心に広まった紛争解決のアプローチで、従来の刑事司法では、国家が犯罪者を処罰することで問題を解決しようとするのに対し、修復的司法は、被害者と加害者の対話を中心に置き問題解決を目指す。 著者には性暴力の被害にあった過去がある。修復的司法の研究者を志したのも、自らの被害体験と深くつながっているからだった。そして、これがとても重要かつ繊細な機微をはらんだポイントなのだが、被害者だからこそ、加害者との対話に興味を持った。 だが当事者であることを著者はずっと明かせなかった。なぜならカミングアウトすれば「加害者との対話を望む被害者」と単

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    yamaidare 2022/02/17
  • 『ピタゴラスと豆』 - HONZ

    来年の3月11日で東日大震災が発生してちょうど10年になる。9世紀以来というマグニチュード9クラスの巨大地震が発生し、日列島は地震と噴火が頻発する「大地変動の時代」に突入した。 それ以降、寺田寅彦の著作が以前にも増して読まれるようになった。彼は大正12年(1923年)の関東大震災を東京で体験し、科学エッセイにその状況をつぶさに書き残しているからでもある。 『ピタゴラスと豆』にはプロフェッショナルの目で見た詳細な記述がある。まず大正12年9月1日(土曜)の記事を読んでみよう。 急激な地震を感じた。椅子に腰かけている両足の蹠(うら)を下から木槌(きづち】で急速に乱打するように感じた。多分その前に来たはずの弱い初期微動を気が付かずに直ちに主要動を感じたのだろうという気がして、それにしても妙に短周期の振動だと思っているうちにいよいよ当の主要動が急激に襲って来た。同時に、これは自分の全く経験の

    『ピタゴラスと豆』 - HONZ
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    yamaidare 2020/11/13
    寺田寅彦とその弟子の中谷宇吉郎(雪の研究で世界的に有名)のエッセイは現代でも面白くオススメ。帝都物語、「坊っちゃん」の時代、栄光なき天才たちなどで寺田を知ったが、最近は無名なのかな?
  • 『家族遺棄社会 孤立、無縁、放置の果てに。』孤独に死にたくなければ、自分から胸襟を開くほかない - HONZ

    この著者のを読むのは初めてではない。なので、怖さはある程度予測できた。それでも、幾度となく背筋が凍る思いがした。こので語られている現実は、人生の選択において誰もが避けたいと考える結末である。社会からの孤立。家族と無縁で、友達はゼロ。そして、誰にも気づかれることなく、自室でもがき苦しみながら溶けていく孤独死。 書は、前著『超孤独死社会』に引き続いて、現代日の凄絶な孤独死現場を取材し続ける気鋭のノンフィクションライターによる最新レポートである。孤独死がメインなのは変わりないが、書では血縁・友人知人関係といった人間どうしのつながりの希薄さに重心が置かれている。 たとえば最初の章にこんな場面がある。37歳の西良太(仮名)が、親の最後の後始末を代行する一般社団法人LMNの代表・遠藤に向かって堰を切ったように自分の半生を語っている。 自分には絶縁状態の親がおり、父親はすでに自殺している。その

    『家族遺棄社会 孤立、無縁、放置の果てに。』孤独に死にたくなければ、自分から胸襟を開くほかない - HONZ
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    yamaidare 2020/09/08
  • 彼女はいったい何者なのかー。『女帝 小池百合子』 - HONZ

    この2ヶ月間、彼女を見かけない日があっただろうか。テレビや新聞、ネットで私たちは毎日のように彼女の姿を目にし、彼女が語る言葉に耳を傾けてきた。誰もが彼女の顔と名前を知っている。そこには見慣れたリーダーの姿があった。 だが書を読んだ後は、奇妙な感覚にとらわれるに違いない。彼女のことを確かに知っていたはずなのに、急に見知らぬ人間のように思えるからだ。そして次の瞬間、戦慄が背筋を駆け上る。「この人は、いったい何者なのか……」 書は女性初の東京都知事であり、また女性初の総理候補とも目される小池百合子の知られざる半生を描いたノンフィクションである。書の発売日前後に、ある新聞のコラムで「暴露」と表現しているのを見かけたが、おそらくコラムの書き手はこのを読まずに書いたのだろう。著者は3年半にわたる綿密な取材を通じて、百人を超える関係者の証言を集め、小池が長年にわたり隠し続けてきた経歴にメスを入

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    yamaidare 2020/06/02
  • 医学界の「怪物」、その壮絶なドラマ『ゴッドドクター 徳田虎雄』 - HONZ

    徳田虎雄。その名を聞いたとき、どのようなイメージが思い浮かぶだろう。医療に風穴をあけた風雲児、潤沢な資金をバックにした金権政治家、あるいは、難病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)と闘う患者だろうか。それは世代や立場によって大きく異なってくるに違いない。いや、そもそも若い人には、その名さえ知られていないかもしれない。 まったくの徒手空拳から、昭和48年、大阪の松原市に建設した徳田病院を皮切りに、徳洲会病院を全国に開院。「徳洲会事件」によりすでに経営者の座を追われたといえ、71の病院と約3万人の職員を擁し、グループ全体で4,200億円もの売上げを誇る、日最大にして世界屈指の病院グループの礎を築いたのが徳田虎雄だ。 その一代記であるこの、面白くないはずがない。まずは冒頭のシーンで度肝を抜かれる。医療界の話のはずなのに、山口組傘下のヤクザ-警察がいうところの暴力団-の「事始め」の儀式から始まるのだ

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    yamaidare 2020/01/11
  • 『今日われ生きてあり 知覧特別攻撃隊員たちの軌跡』 - HONZ

    思い切って告白するのだが、私はこのを泣きながら読んだ。はじめてこのを読んだとき、書斎で嗚咽した。号泣しそうだったが家族をおどろかせるのをはばかって声を殺して泣いた。なみだが幾度も流れた。 8年後、この文庫の解説をひきうけて、再読した。たまたま九州の都井岬へ行く用があったので、バッグのなかに『今日われ生きてあり』を入れて出かけた。東京から小倉、宮崎を経て串間までの片道13時間の列車のなかで読むつもりだった。 読めなかった。新幹線で読みはじめたのだが、なみだがあふれ、まわりを気にしてを閉じた。 都井岬のホテルで真夜中、目があいた。海に大きな月が上っていた。月に照らされた海を見下ろす窓辺の椅子で、あらためて読みはじめた。 一話ごとに(第十八話「〝特攻〟案内人」だけを例外として)泣いた。深夜のホテルの一室だから遠慮はいらなかった。ときには声をあげた。夜の海に向かって、おうおう吠えた。一話読み

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    yamaidare 2019/07/30
  • 衝撃! ”生命科学クライシス-新薬開発の危ない現場” - HONZ

    「なんとかの危機」的なはけっこう多い。執筆は専門家ではなくてジャーナリストだし、「煽り系」のがまた出たかと思って読み始めた。しかし、まったく違っていた。生命科学研究におけるさまざまな問題点が、順を追って鋭く冷静に指摘されていく。 資料をまとめただけではない。そういった問題に関係するノーベル賞受賞者も含めた多くの研究者へのインタビューも満載だ。口はばったいことを言うようだが、日頃漠然と考えていたことがスッキリとまとめられていると感心した。そして、大きな衝撃をうけた。 まずは、ネイチャー誌に掲載されセンセーショナルな反響を引き起こしたレポートの話から始まる。企業では、新薬につながるアイデアをプロジェクトにする際、かならず追試がおこなわれる。でないと、巨額の研究費をドブに捨てることになりかねない。 世界最大のバイオテクノロジー企業・アムジェンに勤めていたベグリーは、画期的と判断したがん研究に

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    yamaidare 2019/04/27
  • 『全裸監督 村西とおる伝』真珠湾でAVを撮ったビジネスマン - HONZ

    安倍晋三首相が28日に米・ハワイの真珠湾を訪問した。当初は、今回が現職首相として初の真珠湾訪問とされていたが、吉田茂、鳩山一郎、岸信介も首相在職時に訪れていたとの報道も出てきた。突如、過去に3首相の訪問が浮上してきたわけだが、真珠湾上空で男女の情事を撮った男は日どころか世界でも一人であろう。 村西とおる。もはや過去の人かもしれない。十数年前に息子が超有名難関私立小学校に入学したことで、「あの村西とおるの子が!」と話題になったが、全盛期のパンツ一丁で業務用カメラを抱えて、「ナイスですね」とハスキーボイスで発する姿は多くの人にとって、忘却の彼方だろう。 とはいえ、この男、一時代を築いたのは間違いない。80年代末には、5つの会社を経営、年商100億円のAV王国をつくりあげた。『SMっぽいのが好き』でデビューさせた専属女優の黒木香は知的な語り口とお下劣なキャラクターのアンバランスさと「腋毛」で、

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    yamaidare 2016/12/28
  • 読み終えたが最後、徹夜はできなくなるだろう──『眠っているとき、脳では凄いことが起きている』 - HONZ

    多くの人間は一日に6〜8時間ほどの睡眠をとる。そうなると、ごくごく単純に計算して人生の4分の1から3分の1を睡眠に費やしていることになる。それなのに睡眠のことはあまり意識されない。あって当たり前、時にはちょっとぐらいすっとばしても構わないものだと思われている。 しかし、かつて安眠が今ほど保証されていない時代のことを考えれば、6〜8時間も睡眠をとるのはとてつもなく危険だったはずだ。その上、睡眠は人間だけではなく、動物界に広く行き渡った機能である。多くの動物がわざわざ多大な危険をおかしてまで行っているのだから、当然そこには「睡眠が生命を維持するに必要不可欠な理由」があるに違いない。そうでなかったらこれほど深刻なバグはなかなかないだろう。その理由とはいったいなんなのだろうか? 書『眠っているとき、脳では凄いことが起きている: 眠りと夢と記憶の秘密』はその書名通り、眠っている時に脳で起こっている

    読み終えたが最後、徹夜はできなくなるだろう──『眠っているとき、脳では凄いことが起きている』 - HONZ
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    yamaidare 2015/11/25
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    お金0.0 / ビットコインが★なくなりました』第9話 2018年09月28日 あなたは1000万円盗まれたらどうしますか? 役者を目指す若者「出野達也」は、思いつきで仮想通貨取引を始めた。 家族に300万円を借金して、全額投資。 瞬く間に増えるお金、豪遊に次ぐ豪遊─...

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    yamaidare 2015/08/27
  • 【連載】『世界の辺境とハードボイルド室町時代』第4回:伊達政宗のイタい恋 - HONZ

    人気ノンフィクション作家・高野 秀行と歴史学者・清水 克行による、異色の対談集『世界の辺境とハードボイルド室町時代』。第4回は伊達政宗のイタい恋について。BLのルーツは戦国武将にあり!?(HONZ編集部) ※過去の記事はこちら→第1回、第2回、第3回 伊達政宗のイタい恋 清水 江戸時代の元禄年間が日歴史のターニングポイントだったという話をしましたよね。ひげがなくなるのはまさにその頃で、もう一つの傾向としては、同性愛文化がすたれていくんですよ。もちろん、アンダーグラウンドな世界では残るんですが、趣味としておおっぴらに同性愛を楽しむ風潮がなくなってきますよね。なぜかというと、もともとは同性愛もひげと同じで、男らしさの表れだったんですね。 高野 そうだったんですか。 清水 なよっとした感じのものではなくて、「女なんかとつるんでいられるか」というような感じの。 高野 むしろ男子校的な。 清水 

    【連載】『世界の辺境とハードボイルド室町時代』第4回:伊達政宗のイタい恋 - HONZ
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    yamaidare 2015/08/22
  • 『不健康は悪なのか』はスゴ本:健康をモラル化する社会 - HONZ

    今週日曜日に行われた、HONZイベント@d-labo二子玉川。終了間際の質問コーナーにて、観客席にいた一人の眼光鋭い男性から『不健康は悪なのか』というを紹介された。その男性の口からは、次々に知る人ぞ知る名著の名前が飛び出し、HONZメンバーもたじたじに。聞けば、スゴブログでおなじみのdainさんであるという。イベント終了後すかさず交渉に入り、レビューを寄稿していただきました。(HONZ編集部) べようとするケーキを奪って「あなたのためだから」と言い放つ(終業ぎりぎりでドサッと仕事を渡すバージョンもある)。強く印象づける目的としては、このCMは大成功だ。心ざわつく嫌なメッセージとして、絶対忘れないから。人の為と書いて、いつわりと読む。これは、善意の皮を被せた、人をコントロールする言説だ。 書を読み進めているあいだ、何度もこの「あなたのためだから」が頭をよぎる。おっぱい育児を推進する全

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    yamaidare 2015/07/16
  • エイズ治療研究の最前線--『完治』への道 - HONZ

    「青木薫のサイエンス通信」番外編の更新です。今回取り上げたのは、仲野徹とのクロスレビューになる『完治 – HIVに勝利した二人のベルリン患者の物語』。なぜHIVを克服するのが難しいのか?そこを深く理解することで、患者を「完治」へと導いた主治医の「着眼」が見えてきます。 (※稿は、青木さんご自身のFacebookに書かれていた感想を、そのまま掲載させていただいております。) 今年に入ってすぐの頃だったと思うのですが、『ニューヨーカー』にジェローム・グループマン(ハーバード大学医学部教授で、『ニューヨーカー』のスタッフライター)が、エイズ治療の最前線をレポートしていました。グループマンは、エイズがエイズと呼ばれるようになる前から、この病気の研究に関わっていたとのことで、さすがと言うべきか、研究の最前線が、とても見通しよく、かつ魅力的に描かれていて、思わず引き込まれてしまいました。 ところで、

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    yamaidare 2015/04/21
  • 『あんなに大きかったホッケがなぜこんなに小さくなったのか』 - HONZ

    ホッケの干物といえば居酒屋メニューの定番。大皿にもおさまらないくらい大きくて、仲間たちとワイワイつつく魚。家で焼こうとしようものなら、魚焼きグリルからしっぽがはみだしてしまうような。 ところが、そのホッケがいま、年々小さくなっているという。それこそアジの干物ほどの大きさに。しかも値段は高騰、居酒屋メニューのような庶民の味ではなく高級魚になってしまったというのだ。たしかに言われてみると、スーパーの鮮魚売り場で見かけるホッケは、こじんまりと品よく高い。なぜこんなことになったのか。 ホッケの漁獲量が減ってしまったのだ。もはや海に大きなホッケはほとんど見当たらなくなっているという。1998年の20万トンをピークに、2011年にはなんと!75%減のたった5万トンになってしまった。獲りすぎたのだ。 こうして獲りすぎて、いなくなってしまった魚はホッケだけではない。マイワシ、ニシン、マサバ、ウナギ…。クロ

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    yamaidare 2015/01/24
  • ここまで書いてええんかい 『工学部ヒラノ教授の事件ファイル』 - HONZ

    「ヒラノ教授、あんたの時代はよかった」。工学部ヒラノ教授シリーズを読んだ現役教授たちは、私とおなじようにつぶやくだろう。ご人は、どこがよかったのか、とおっしゃるかもしれない。しかし、20年ほど前、いろいろと不自由や不条理はあったけれど、国立大学はゆるくてのどかな場所だった。 このでは、その時代にヒラノ教授が(たぶんやむなく)手を染められた不正行為が大胆に開陳されている。しかし、窃盗罪や詐欺罪でも時効は7年。東京工業大学を停年で辞されてから10年以上になるヒラノ教授、いまさら咎められることもありますまい。それに、20年ほど前は、やったらダメとわかっていても、いかんともしがたい事情が多々あった。 某省の研究費など、どういう理由かは知らないが、毎年2月にならないと振り込まれなかった。単年度決済なのだから、3月の中旬までに使い切る必要があるにもかかわらず、である。もちろん計画は一年かけて遂行す

    ここまで書いてええんかい 『工学部ヒラノ教授の事件ファイル』 - HONZ
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    yamaidare 2014/12/22
  • ペペロンチーノを科学する世紀の奇書『男のパスタ道』は「いきの構造」にならぶ(かもしれない)名著である - HONZ

    料理研究家・土屋敦が編み出すレシピは、どれもとてもシンプルで美味しい。だから、ひょっとしたら横着な男なのではないかと思っていた。実物を見ても、なんとなくそういう印象がしないでもない。しかし現実は真逆、オタク的執着心の権化だ。 そうでなければ、豚の角煮のレシピだけを27も集めた『なんたって豚の角煮』など出版するはずがない。世界中のどこに、豚の角煮でそんなにたくさんのレシピを必要とする人間がいるのというのだ。 というのが常識的な判断だろう。しかし、世の中は広い。アマゾンをチェックすると、四つもレビューが載っていて、いずれも五つ星。わけわからん。が、ふと、土屋敦は四人家族であることを思い出してしまったりした。 こんどはペペロンチーノでを一冊である。さすがに、ペペロンチーノのレシピを27も紹介する、という愚を犯してはいない。美味しいペペロンチーノを作りたいという一心で、すぐれて科学的な実験を繰

    ペペロンチーノを科学する世紀の奇書『男のパスタ道』は「いきの構造」にならぶ(かもしれない)名著である - HONZ
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    yamaidare 2014/06/14