「マスター」と書いたが、コンテンツの最終版のことではない。レコードの原盤のことでもないし、聖杯を求めて英霊を召喚する魔術師のことでもない。システムで呼び習わされているところのマスターデータである。マスターをきちんと作ること、正しく維持することが世間で過小評価されていて、それが目先ではITの問題となり今後はデジタルトランスフォーメーション(DX)の阻害要因となることを述べたいと思う。 マスターの問題はすぐ隣で起きている 今はだいぶ減ったが、会員登録や申請での書類書きというものが世の中にまだまだ残っている。新型コロナウイルスワクチン接種の申し込みは、生年月日を書かせた上で年齢を書かせている。星占いで生年月日と星座を聞くようなものである。 ワクチンに限らず、たいていは何か一つ申し込みたいだけなのに、何枚も書類がある。一枚ごとに氏名や住所などを書かされる。この欄は氏名でひとマス一字ずつ書けとなって