週末に探し物で本棚をあさっていたところ、福田和也の「悪女の美食術」という本に目が止まった。タイトルに惹かれたので最初の方だけ軽く見てみようとパラパラと読み進めていると、レストランガイド的な内容のものかと思いきや、食を巡る美学と文化に関する大変興味深い考察が展開され、なおかつ数十ページに1回程度、電車の中で読んでいても声を上げて笑ってしまうことを禁じえないような、思い当たる節があり、かつユーモラスな表現が散りばめられており、一気に最後まで読みきってしまった。 例えば、一人で外食することをテーマとした第一章には、次のような箇所がある。 たしかに、一人で食事をするのには、相応の意識が必要なのですが、しかし、あまりに意識的であっても、困る場合があります。つまり、「私は、一人で食事してるのよ、何か文句ある?」という態度が、あまりにも先鋭的に周囲に放射されてしまうと、これはこれで他の客にとっては迷惑こ