いつまでたっても掴めきれないceroの"いま" 聴けばひとたび、圧倒的な「いいもの」であることがわかった。しかしそれが「いい」理由を探すと、途端に途方に暮れてしまう。様々な音楽の要素が入り混じり、それでいて確立されたオリジナリティーがある。はずなのに、そのオリジナリティーを言葉で説明しようとすれば「そんな難しい音楽じゃないんだよなあ」と途中で諦めてしまう。なんか良い。すごい良いんだけど、何だろう。ceroにはずっとそんな印象を持っていた。ただ、そんな印象を持ってしまう理由は知っている。 ファースト・アルバム『WORLD RECORD』では架空の街を作り、セカンド・アルバムの『My Lost City』では雨の曲が多い前作に描かれる街をさらに水浸しにし、海に沈めて航海を始める(「大洪水時代」)。しかしそこで作った船は次作『Yellow Magus』で壊される(「Ship Scrapper」)