若かりし頃、単身世界を飛び回った猪木さん。その経験に基づく言葉に救われた人間は数えきれない(1964年8月) 【広瀬真徳 球界こぼれ話】「燃える闘魂」アントニオ猪木さんが今月1日に死去された。プロレスを担当していた20代のころにお世話になったことがあるため、一報を聞いた時には全身に衝撃が走った。 あくまで一介の記者とレスラーという間柄。特別な親交があったわけではない。それでも猪木さんには人生を思い悩む時期に温かい言葉をかけていただいたことがある。 今から21年前の2001年。猪木さんが主催するツアーの関係で米サンフランシスコを訪問された際、現地で内輪の食事会に参加させていただいた。当時の自分はシアトル在住でイチロー選手を取材する身だった。すでにプロレスには携わっていなかったが、猪木さんにあいさつすると「そうか、シアトルからか。よく来たな!」。そう言って反り立つあごを上下に揺らしながら頭をな