妊娠・出産を理由に、降格や解雇などをする「マタニティー・ハラスメント」(マタハラ)が後を絶たない。これまでは働き手が企業側の違法性を立証しなければならない実態だったが、厚生労働省は、妊娠・出産と降格などの時期が近ければ「違法」と原則判断するように全国の労働局に通達を出した。マタハラをめぐる対応は変わるのか。 マタハラの立証、負担減 育休からの職場復帰を間近に控えた昨年春。都内に住む30代の女性は、勤め先の上司から自宅近くの喫茶店へ呼び出され、「率直に言って、戻るところはない」と告げられた。 勤めていた会社で女性社員が出産するのは初めてだったが、半年間の産休・育休をとるまでスムーズに進んでいただけに、言葉を失った。理由をたずねても、「社長の気が変わったから、戻すことはできない」の一点張りだった。 労働局に駆け込んだが解決せず、弁護士に相談して会社側と争うことになった。会社側は、解雇の理由に「