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ブックマーク / sociology.jugem.jp (8)

  • 独断と偏見で選ぶ学会ベスト報告:有田伸「正規・非正規雇用間の就労上の負担の相違と賃金格差」 | Theoretical Sociology

    2016 年 10 月 8, 9 日に九州大学伊都キャンパスで行われた日社会学会大会で私が見聞した報告の中で最も感銘を受けた研究です。例によって、ごく一部の報告しか聞くことができませんでしたので、あくまで私の独断と偏見ですが、ベスト報告は、 有田伸「正規・非正規雇用間の就労上の負担の相違と賃金格差:「突然の残業・休日出勤」の有無に着目して」 だーー! 非正規雇用の賃金が正規雇用よりも低いことを正当化する理由として、正規雇用の場合は、残業や休日出勤、転居を必要とするような勤務地の転換命令(いわゆる転勤)など、私生活の犠牲を強いられるので、それを補償するために賃金の上乗せがなされる(それが非正規雇用と正規雇用の賃金格差を生む)、という説明がなされることがある。このような説明を補償賃金仮説的ロジックと有田は呼んでいるが、このロジックが正しいのかどうか検証したのがこの研究である。 東大社研若年パ

    独断と偏見で選ぶ学会ベスト報告:有田伸「正規・非正規雇用間の就労上の負担の相違と賃金格差」 | Theoretical Sociology
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    ytn 2017/04/29
  • 「経済学と社会学における新制度派」『経済社会学ハンドブック』 | Theoretical Sociology

    Victor Nee, 2005, "New Institutionalism in Economics and Sociology," Neil J. Smelser and Richard Swedberg (eds.) Handbook of Economic Sociology 2nd ed., Princeton University Press, 49-74. 新制度派の解説。経済学における制度派(Veblen, Mitchell, Commons が代表的)が、限界効用理論のような新古典派の理論を攻撃したのはよく知られている。それに対して、新制度派経済学は、新古典派の経済理論を制度の分析に応用した点で、古い制度派とは異なると Nee はいう。新制度派経済学は、Coase の理論のリバイバルであり、ウィリアムソンとノースが代表的な理論家である。ウィリアムソンの議論で最も有名なの

    「経済学と社会学における新制度派」『経済社会学ハンドブック』 | Theoretical Sociology
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    ytn 2016/11/02
  • 『イギリス社会学の勃興と凋落:科学と文学のはざまで』

    イギリス社会学の勃興と凋落―科学と文学のはざまで イギリス社会学の勃興と凋落―...の他のレビューをみる» A.H. ハルゼー 世織書房 ¥ 3,780 (2011-04) 20世紀のイギリス社会学の歴史を概観した著書。原著は下記の通り。 Albert Henry Halsey, 2004, A History of Sociology in Britain: Science, Literature, and Society, Oxford Univ Pr on Demand (=2011, 潮木 守一 訳『イギリス社会学の勃興と凋落:科学と文学のはざまで』世織書房). 原著の第3部は翻訳されていないので、抄訳というのが正確だろう。原書が刊行された時点で Halsey は81歳であったので、さすがにやや叙述は雑駁で、特にイギリス社会学についての知識が全くない日の読者には、わかりにくい記述

    『イギリス社会学の勃興と凋落:科学と文学のはざまで』
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    ytn 2016/11/02
  • バウマン『新しい貧困』 | Theoretical Sociology

    新しい貧困 労働消費主義ニュープア 新しい貧困 労働消費主義ニュ...の他のレビューをみる» ジグムント・バウマン 青土社 ¥ 2,520 (2008-07-24) ちょっと期待して読んだので、落胆が大きく、いつもよりも辛らつかもしれないので注意。新しい貧困とは、アンダークラス論争に見られるように、貧者=犯罪者、貧者=余剰という考え方だというのだが、特に新しいとも思えないのである。貧者と犯罪者を同一視する見方はアンダークラス論争以前からずっとあるし、貧者=余剰もマルサスを思い起こせばわかるようにずいぶん昔からある。マルキストならば相対的過剰人口という言葉を思い起こすであろう。生産社会から消費社会へという議論もボードリヤールの『消費社会の神話と構造』が1970年に出版されたことを思うと、ぜんぜん新しくない。 さらに、かつてはプロテスタントの倫理のもとで、すべての労働に神聖な価値が付与されてい

    バウマン『新しい貧困』 | Theoretical Sociology
  • 「国際的な経済調整の政治経済社会学」『経済社会学ハンドブック』 | Theoretical Sociology

    Neil Fligstein, 2005, "The Political and Economic Sociology of International Economic Arrangements," Neil J. Smelser and Richard Swedberg (ed.) Handbook of Economic Sociology 2nd ed., Princeton University Press, 183-204. 国内市場の統合に関する歴史社会学的知見を、国際市場の統合と統治に応用した研究。組織場 (organizational field) 概念の国際市場への応用とも言えるか。一般に地域 A と地域 B の市場の統合とは、地域 A と地域 B で作られた商品やサービスをお互いの地域で流通させることだと思われる(特に定義されていないのだが)。 市場の統合には、消極的

    「国際的な経済調整の政治経済社会学」『経済社会学ハンドブック』 | Theoretical Sociology
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    ytn 2016/06/03
    フリグスタインとか
  • ギデンズのモダニティ論から価値変容に関する仮説をひねり出してみる | Theoretical Sociology

    近代とはいかなる時代か?―モダニティの帰結 近代とはいかなる時代か?―モ...の他のレビューをみる» アンソニー ギデンズ 而立書房 ¥ 2,625 (1993-12) モダニティの更なる深化のプロセスで人々の価値観や意識はどのように変化するだろうか。ギデンズは反証可能なような明確な仮説とは無縁の社会学者で、実証的な研究の文脈ではほとんど役立たずであるが、あえてギデンズの議論から着想を得るならば、どのように人々の価値観は変化してきていると考えられるだろうか。むりやりいくつか仮説を考えてみた。 再帰性の増大 ギデンズは再帰性 (reflexibity) に固執しているのであるが、、価値変容論の文脈ではモニタリングのほうが使いやすそうである。再帰性とは、行為者やシステムが自らの振る舞いやおかれている状況をモニタリングし、必要であれば省察・反省 (reflection)し、場合によっては自己の振

    ギデンズのモダニティ論から価値変容に関する仮説をひねり出してみる | Theoretical Sociology
  • 見田宗介,1995,『現代日本の感覚と思想』、大澤真幸,2008,『不可能性の時代』 | Theoretical Sociology

    現代日の感覚と思想 (講談社学術文庫) 現代日の感覚と思想 (講談...の他のレビューをみる» 見田 宗介 講談社 --- (1995-04) 不可能性の時代 (岩波新書) 不可能性の時代 (岩波新書)の他のレビューをみる» 大澤 真幸 岩波書店 ¥ 819 (2008-04-22) 価値観や意識の時代による変化を知りたくて読んだ。いずれも時代区分に関連しそうなところしか読んでいないので注意。 見田によれば、「現実」の対義語は「理想」、「夢」、「虚構」である。これは現実という言葉の多義性をよく示しているが、戦後日歴史をその「心性」に注目して分類すると、理想の時代(1945-60)、夢の時代(1961-75)、虚構の時代(1976-90年現在)に分類できるという。 理想の時代とは理想を現実のものにしようと多くの人々が努力した時代であるが、これは60年安保闘争の挫折(安保条約を阻止し

  • イアン・ハッキング『偶然を飼いならす: 統計学と第二次科学革命』 | Theoretical Sociology

    偶然を飼いならす―統計学と第二次科学革命 偶然を飼いならす―統計学と第...の他のレビューをみる» イアン・ハッキング 木鐸社 ¥ 4,725 (1999-06) Ian Hacking, 1990, Taming of Chance, Cambridge University Press (=1999, 石原 英樹・重田園江 訳『偶然を飼いならす:統計学と第二次科学革命』木鐸社). 統計学の発展と決定論の浸に伴って、偶然/必然、正常/異常、法則、因果、といった観念がどのように変化していったのかを物語った。そういう意味では思想史 (history of idea) の一種ということになろうが、扱われている言葉はけっこう色々あるし、それが社会とどのようにかかわっていたのか、ということも色々書いてあり、「偶然の飼いならし」の過程を社会的な側面を重視しながら記述しようとしたということになろ

    イアン・ハッキング『偶然を飼いならす: 統計学と第二次科学革命』 | Theoretical Sociology
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    ytn 2014/03/30
    「やはりこういう事実をして語らしめるという議論の作りは好きになれないな、という気もする。事実は決して語らない。語るのは人間であり、この場合はハッキングが語っているのである。 」
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