人工知能学会誌 第25巻 第1号 (2010年1月) 特集「最近のSAT技術の発展」 特集「最近のSAT技術の発展」にあたって 井上 克巳 (国立情報学研究所) 田村 直之 (神戸大学) 命題論理の充足可能性判定問題(SAT)は,与えられた命題論理式の充足可能性を 判定する問題であり,最初にNP完全性が証明された問題でもある. SATは人工知能および計算機工学における最も基本的な問題として, 論理合成,システム検証,プランニング問題,スケジューリング問題, 制約充足問題,制約最適化問題,定理証明など,さまざまな分野に応用されている. 近年,106--107 個の変数をもつ大規模なSATインスタンス(SAT問題)を, 非常に高速に解くことが可能なSATソルバーが実現され,これらの分野への実用 的応用が急速に拡大している. このように,与えられた問題を論理式で表現しSATソルバーを用いて解くこ