神戸市で1997年に起きた連続児童殺傷事件の加害男性(32)=事件当時14歳=が書いた手記『絶歌』の出版をめぐり、議論が起きている。加害者は語りうるのか、遺族感情にはいかに配慮すべきなのか。2人の識者に聞いた。 森達也さん(映画監督・作家) 事件の被害者遺族が「手記を出版されたくなかった」と感じるのは当然と思います。 もし「自分が同じ立場に置かれたらどう思うか」と尋ねられたら、「その立場になってみないと分からない」と答えます。ただ、やはり「出版など許せない」と言うかもしれない、との思いはある。 他方で、「出版をやめさせて本を回収すべきだ」という意見が強まる現状には違和感があります。発表された言論や表現を封殺してよいのか、という疑問があるからです。感情は大事な要素だと僕も思うので、ためらいはありますが、ここは「論理も大事なのではないか」と訴えたい。禁書や焚書(ふんしょ)を生みだす社会が個人に
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