これまで私が経験したケースをいくつか紹介しましたが、ひとくちに「うつ病」といっても症状は人によってさまざまです。巷に氾濫する「うつ」情報は、あくまでも目安であることを認識し、うつ病かどうかの判断は専門医にまかせましょう。「おかしいな」と思ったら、まずは産業医や精神科クリニックの臨床医に相談することが肝要です。 そして、産業医と連携を取りながら、うつ病になった社員のケアはもちろん、職場のメンタルヘルス対策を構築することが重要です。最近、増えてきた「燃え尽き型」のうつ病は、会社の労働環境や人間関係が原因で起こっているからです。 うつ病になった社員を休職させても、職場環境が変わらないままでは、復帰後にまた同じことが起こってしまいます。予防に力を入れないかぎり、うつ病になる社員を減らすことはできないのです。 いまでこそ、私は精神科産業医として忙しく飛び回る日々を送っていますが、もともと
前回紹介した回避性・自己愛性人格障害者の場合は、困難なことに出会うと、それから逃れるためにうつ病になります。ところが、同じ自己愛性人格障害者でも、能力が高く、仕事ができるタイプの人は、本人ではなく部下をうつ病にしてしまう困った存在になります。 子ども時代に親から十分な愛情を受けずに育ち、自己肯定感が低いと、自己愛性人格障害に陥りやすくなると言われています。なぜなら、自己肯定感が低いと、自分に自信が持てない分、他人からの評価に敏感で、上昇志向が高くなるからです。そして、他者からの評価を得るために必死になって昇進をめざしますが、人間的に未成熟でコミュニケーション能力が低いため、部下を育てることができないどころか、部下をつぶしてしまうクラッシャーになってしまうのです。 私が産業医をしていた会社で、同じ部署から何人もの社員がうつ病になったことがあります。最初は気づかなかったのですが、どうも
「どうも再発したようだ」と上司から報告を受けた私は、「彼にはまだ無理だったのだろうか」と半信半疑ながら、さっそく彼と面談することにしました。 「夜眠れないし、朝も起きられない」と訴える彼に、「何時に寝ているの?」と尋ねると「12時から1時頃」との答を返す。「それでは遅すぎるよ。もっと早く寝られないの?」と聞くと、「寝る前にネットをしたり、ゲームをしないと眠れないんです」と言う。 うつ病は睡眠障害とも言われる病気です。医者の言う通りにきちんと睡眠をとってもらわなければ、治るものも治らない。そこで「職場復帰したいんでしょう? だったら、ちゃんと10時頃にはベッドに入るようにしないと……」と言っても、「でも、ゲームしないとストレスがたまっちゃうんですよね」と言うばかり。とても真剣に職場復帰を願っているとは思えませんでした。 いろいろ話を聞いてみると、休職中にディズニーランドに妻子と遊
私がある企業で産業医として働き始めた頃は、今ほどうつ病が社会的に認知されていませんでした。「精神がたるんでいるからだ」とか「気合いが足りない」など、根性論が当たり前のように語られていました。また、当の本人も自分がうつ病ということを認めたがらないことが多々ありました。 そんな時代に、私が経験したあるビジネスマンのお話を紹介しましょう。彼は30代後半のビジネスマン。大学時代はラグビーをしていたというだけあって、仕事のやり方も体育会系。「やればできる」の精神で仕事をこなしていました。そんな彼に栄転の話が舞い込みました。大阪支社から東京本社への異動と同時に、課長に昇進するというものです。妻と幼稚園に通う娘の3人で東京に引っ越し、新たな生活が始まりました。 本社に勤務して半年もした頃でしょうか。彼の様子がおかしくなったのです。朝なかなか起きられず、新聞も読まなくなった。土日もベッドにもぐり込
プロアナは肯定しつつ、摂食障害は問題ではないとはいえない http://d.hatena.ne.jp/macska/20070423/p1 以前のエントリで書いた文章、 摂食障害と言ってもほとんどは死なないし、吐いたとしても死ぬわけではないから問題がない、という主張である。この主張には同意できない。 http://d.hatena.ne.jp/iDES/20070421/1177171719 ということについて、macskaさんからいただいたレス。このレスに不十分ながら答えたいと思う*1。 まず、以前のエントリでこのように書いた理由は以下のようなものである。(前のエントリの補足も兼ねて) 摂食障害というものについて読んだり話を聞いたりし始めてから、複数の人間から言われたのは「摂食障害の何が問題なのだ」ということだった。食べなかったり、吐いたりはするものの、ちゃんと社会参加はしてるし、不自由
プロアナ(Pro-ana)というものがあるらしい。アノレキシア*1(拒食症)を支持(pro)という意味で、拒食症を「病気」ではなくライフスタイルの「選択」であると捉えなおしている。「病気」ではなく「選択」であるという考え方は「選択としての不登校(登校拒否)」の考え方と同じだ。 過食症版のプロミア(Pro-mia)というものもある。こちらの方が成立しやすい気もする。危険な状態になることの多い拒食症よりも、過食嘔吐の方が緊急性が低いからだ。しかし、どうやらムーブメントとしてはプロアナの方が力がある。 ひとまず、wikipediaの"Pro-ana"を抄訳。 Pro-ana(wikipedia) http://en.wikipedia.org/wiki/Pro-ana プロアナ(Pro-ana)とはインターネットで大規模に存在する運動の一つで、拒食症を「病状」ではなく、「オルタナティブなライフス
渡邉亜矢子,1992, 「東京都公立中学校における「学校ぎらい」出現率の学校差および地域差」 『生活指導研究』第9巻,143-162. 渡邉亜矢子氏の現在の姓は伊藤に変わっているようだ。(参照) 不登校統計やそれを扱ったものを読んでて釈然としなかった部分が、この論文を読んでやっと理解できた。非常に勉強になった。 不登校統計で何か建設的なことを言うのはやはり非常に難しい。自分の研究の中でも、このことはネックになるし、理論の要求するデータを自身でとっていくしかないように思った。少なくとも不登校統計は自身の研究の中では、参考値にしかならないようだ。 この論文では、不登校を2つに分けて分析をしている。 理由は、不登校と一口に言っても、神経症的な不登校の典型的なイメージの当事者と、非行や怠学傾向の不登校があって、それらを同じものとして扱うことに問題があるからだ。両者は質的にも異なるし、発生地域も異な
「ひきこもり」「ニート」「発達障害」という3つの言葉が登場する新聞記事数の推移グラフを作った。新聞(マスメディア)でこの3つの言葉が言及される頻度をみることができ、これら3つの現象がどの時期にどの程度、注目されてきたかが分かる。使用したデータベースは朝日新聞の「聞蔵」である。 「ニート」という言葉が初めて使われたのは2004年5月の産経新聞に掲載された小杉礼子氏の記事が最初。それ以前に「ニート」という言葉の使用はあるものの、別の意味の単語*1であるため、2004年6月からデータを取っている。 2005年末から2006年初頭が最も「ニート」という言葉が使われていたことが分かる。月によって上下はあるものの、少しずつ使用頻度が下がってきている。 「ひきこもり」*2と「発達障害」の記事数も加えてグラフにしてみた。 月別だと見にくくなるため、四半期(1-3月、4-6月……)の推移グラフにしてある。こ
美内すずえと「ガラスの仮面」展 美内すずえと「ガラスの仮面」展 2007年7月7日(土)−9月2日(日) (C)美内すずえ/白泉社 「やりたい!お芝居をやりたい!」―マヤ 「実力の世界はいいわ…!本当の自分が認められるから!」―亜弓 開館時間
北陸新幹線が延伸開業した16日、能登半島地震で打撃を受けた観光の復興に向け、石川、富山、新潟、福井の4県への旅行代金の一部を補助する「北陸応援割」も始まった。北陸への人流拡大を促し、地域の事業者を経済的に支援することで復興の一助になると期待される。一方で甚大な被害が残る…
1998年金融・企業財務に関する総合コンサルティングを行うKPMGフィナンシャルサービスコンサルティング株式会社を創業。 2005年7月より金融知識を中核とした総合サービスを提供する持株会社として株式会社フィナンシャルに社名変更、現在は代表を務める。 グループ会社で金融経済誌『フィナンシャル ジャパン』を発行するナレッジフォア株式会社代表取締役会長。 また、経済同友会 消費者問題委員会 副委員長、日本内部統制研究学会 理事、日本公認不正検査士協会 評議員、日本サッカーミュージアム アドバイザリーボード座長などを務める。 皆さん、こんにちは。木村剛です。「Espresso Diary」さんが、このところの円安トレンドについて語っています。 昨日の1USD=124JPYには、ちょっと驚きました。世界の株価が強く上がっているときなら、まだ納得できます。金利の低い円を借りて、海外でよ
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