久留米大学の松尾匡さんの犯罪の九割は失業率で説明がつくという文章が注目を集めているようだ。彼が指導した学部3年生の論文を紹介されている。私の『経済学的思考のセンス』も取り上げていただいている。 私自身は、少年犯罪についての実証研究をしたことがあるが、犯罪率全体についてはきちんとした研究はしていない。失業率と犯罪率に関するアカデミックな論文は、数多くあるが、日本の研究は少ない。数少ない研究の中に、社会学者の津島昌寛氏が『日本労働研究雑誌』に発表した「失業・犯罪・年齢」という論文がある。9割かどうかは別にして、海外の研究結果をみても、失業率と犯罪率が関係するのは、間違いないだろう。 ただ、津島氏の研究にしても、時系列相関が高いので、計量経済学的にはまだまだ検討の余地はある。こういう分野についても実証的な研究がどんどん蓄積されていけば、印象論で議論する人が減ってくるはずだ。 先日、日経の経済教室