安倍晋三首相は年頭所感で防衛、憲法とともに人づくりに触れ、日本の未来を切り開くための人材育成について、「終身の計」と、中国の『管子』を引用して重要性を強調した。アベノミクスの3本目の矢である成長戦略の中でも、とりわけ重要な課題であることはいうまでもない。 人づくりは就業前の教育と、就業後の人材育成を一体として進めるべきであろうが、学校教育は1点を争うテスト重視への批判とゆとり教育失敗の間で右往左往し、就業後の人材育成や職業訓練も、その土台である日本的雇用システムの変容や揺らぎの中で明確な軸を失っているように見える。予算や法律を変えればたちどころに人材育成が進むというわけでないところに難しさがある。 ◆◆◆ 人材育成を考える場合、着目すべきはスキル(技能)である。様々な仕事に応じて必要なスキルは異なるし、1つの仕事でも多様なスキルを用いるのが普通だ。このスキルをどう身に付け、伸ばしていくか。