群馬県の東武伊勢崎線、館林駅から小泉線という単線が西に向かって伸びている。その小泉線の終着駅、西小泉駅に降り立つと目の前に立ち現れる光景に誰もが驚かされるだろう。 昔の西部劇映画に出てくるような、三角屋根の駅舎には、30分間に一本程度しか電車が往復しないので、人影もまばらで駅員もいない。駅前の広場に降り立つと、立ち並んでいる商店にポルトガル語の看板が掲げられていて、ここが日本とはとても思えない景色が広がる。 群馬県、大泉町。人口約42,000人のうち、日系ブラジル人を中心とした外国人が15%(6,300人)を占める。日本の中でも外国人密度が最も高い町だ。町には、富士重工業、三洋電機などの工場を中核とした工場団地があり、多くの日系ブラジル人が工員として働いている。大泉町も他の地方都市と同様に過疎化と高齢化が進んでおり、バブル経済時代にかけて深刻な労働力不足に見舞われ、1990年に入管法が改正