新田次郎『八甲田山死の彷徨』の新潮文庫版の山本健吉の解説が、高橋誠一郎の「明治というとよい時代のように言う人がいるが私の印象では暗い時代だった」という言を引いて同意していて、私ははたと膝を打った。 私もそう思う。テレビドラマなどは、中産階級以上の明るい面を強調しすぎている。これは明治に限らずそれ以後でもそうだ。 それでふと思ったのは石光真清の手記で、私はあれがそんなに面白いとは思えない。文章だって息子が直しているし。「近代の暗部」とかいうのだが、近代を明るいと思っていなければ「暗部」も何もなくて、あんなもんでしょうと。 じゃあお江戸が良かったかと言えばとんでもない。要するに「いい時代」なんて存在しないのである。 - ほぼ毎週恒例の東浩紀批判です。 『週刊朝日』今週号で東は、今年から熊野大学を若い連中でやることにしたと書いている。東、市川真人、中上紀が中心になってやったがつまらなかった。これ