ながれをぶった切って久しぶりに「ぷよぷよ」の話をする。このゲーム、同じ色のぷよを4つつなげて消すという単純なルールでありながら、クレタ島の地下迷宮のように無限の奥行きがあり、数学的にも甘みがある。 偶然できた4連鎖に驚いたり、普通にみんなで互角にわいわい楽しんだ時期もあった気がするが、しんみりしてしまうのでそれはおこう。今となっては時々思い出したようにオンライン対戦をやる程度で、研究室で話題に出すこともない。もとより実力差とゲーム性の衝突を補正するのが難しい癖のある遊戯だ。一部の人のみにカミングアウトした隠れ趣味となってそれなりの月日が流れた。 人間に溶け込んだ鬼のはなし そんなある日、知り合いが鬼のように強いという噂を聞いた。 最初は「へえ」と、マンションの勧誘に対応するかのようなリアクションになった。これ以上カミングアウト枠を拡大するつもりもなかったし、強いといってもせいぜいで12〜1