「大学全入時代」を迎えたとされるが、家庭の事情などで児童養護施設で暮らす子どもの大学進学率は低いままだ。今年度から、中学生が塾に通う費用を国などが負担する制度がスタートしたものの、進学支援はまだ十分とはいえない。(飯田祐子、写真も) ボランティア教師 児童養護施設「若草寮」(東京都渋谷区、定員30人)を、東京大学大学院研究生の杉本隆庸(たかのぶ)さん(33)が訪れるようになったのは2年半前から。高校3年の男子生徒にボランティアで勉強を教えるためだ。 英文の和訳では、四苦八苦する男子生徒に、杉本さんが「文章をいくつかに分解するといいよ」「知らない単語はそのままにしておいて、分かるところから訳そう」とアドバイスする。「大学入試の小論文対策」として、新聞のコラムを読み、重要な部分に線を引く課題にも取り組ませる。 男子生徒は、都内の大学の商学部志望。ファストフード店で働いて進学資金をためながら、入