何度読んでも泣ける 「落語にも人情噺がありますが、『寸止め』がいいとされ、『客席の1人か2人が目にハンカチを当てる程度』と言われます。しかし浅田次郎さんは容赦がない。全員が泣くまでグイグイとダメ押しをする。さんざん泣かされ、やれひと安心と油断していたら、最後の最後、主人公・吉村貫一郎の親友・大野次郎右衛門の手紙のくだりでまた大泣きさせられるんです」 落語家の立川談四楼氏は、浅田次郎著『壬生義士伝』を読んだときの思いをこう振り返る。 '19年4月で「平成」が終わる。平成には「J文学」が流行り、村上春樹氏の作品が次々ヒットし……と様々な小説が読まれた。 そのなかで一番おもしろい小説はいったいどれなのか……本誌は、平成に入ってから刊行されたエンターテインメント小説の「ベスト50」を選定。書評家、本のセレクトに定評のある書店員など、本読みのプロ12人の選者へのアンケートをもとに決定したのが、左から