赤ちゃんの愛らしい映像から始まるCM。「人間は生まれてくるときは選べないから、死ぬときぐらいは選べたらいいだろうな」と笑顔で語る女性にかぶせるように「『プラン75』は、75歳以上の方なら、どなたでも無料でご利用いただけます」という優しげなナレーションが流れる。テレビのニュースでは「『プラン75』が国会で成立しました。日本の高齢化問題の解決の糸口になると期待されています」と伝えている。映画『PLAN 75』のシーンだ。まるで現実のように展開されるこれらのシーンに戦慄する。 「75歳になったら生死を選べる」制度の劇中CMと、倍賞千恵子さん。老年を演じる女優の静かな存在感に打たれる 「本当にありそう」な、日本のこれから 映画で描かれる「プラン」は、75歳以上の人が死を希望したら、国の支援のもとで安らかな最期を迎えられるという、国の「制度」だ。物語の中盤で、倍賞千恵子さんが演じる78歳の独居女性・