ボーナスは“特権”か 「低賃金で何が悪い?」正当化され続ける非正規格差:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(2/4 ページ) 「女性? 低賃金で何が悪い?」40年前の価値観が現在につながる 先に結論を言っておきますと、非正規の低賃金問題の根っこにあるのは「性差別」です。「女性? 低賃金で何が悪い?」という40年前の間違った価値観が、非正規全般の低賃金の容認につながっています。 時代をさかのぼること、今から60年以上前の1950年代。高度成長期に突入した日本では、「臨時工」を増やしてきました。臨時工とは、今でいう非正規です。 高度成長期に企業は本工(=正規雇用)より賃金の安い臨時工を増やすことで、生産性を向上させていたのです。 当時、臨時工の低賃金と雇用形態の不安定さは、労働法上の争点として繰り返し議論され、大きな社会問題に発展。国を動かしました。 政府は1966年、「不安定な雇用状態の是
キャリコネニュースTOP キャリア 総合 「静かな女性差別」に気づいた30代男性管理職の投稿に反響 女性比率が高くても経営会議は男性だけ、という会社 はてな匿名ダイアリーに10月12日、「おっさんが『静かな女性差別』に気づいた話」というエントリがあり注目を集めた。投稿者は30代後半、中規模ベンチャー企業の男性管理職で、「最近になって自分の働く会社が女性差別をしていることに気付いた」という。 以前は自社のことを「人材に垣根を設けない良い会社」「男女比率3:7、むしろ女性が活躍している職場」だと思っていたそうだ。違和感を覚えたのは、マネージャーに昇進し、初めて経営会議に出席したときで、 「いざ出席してよくよく見渡したら周りにいるのが自分を含めて見事に全員おっさんだった」 と居心地の悪い驚きを語り始めた。(文:篠原みつき) 「女性は出世させる気のない『愛玩労働者』」と気づく いざ自分が出席して当
非正規労働者側が正社員側との待遇格差是正を求めた訴訟で、最高裁判決を受け、最高裁前で掲げられた「不当判決」などと書かれた垂れ幕=13日午後、東京都千代田区(鴨川一也撮影) 退職金とボーナス(賞与)をめぐり、非正規労働者が正社員との待遇格差を是正するよう求めた2件の訴訟で、13日の最高裁判決は、それぞれの格差を「不合理とまで評価することはできない」と判断し、原告側にとって厳しい判断となった。非正規労働者は全国で2千万人に上り、判決は労働現場に一定の影響を与えるとみられる。一方、最高裁は退職金と賞与の格差が、違法となる場合も「あり得る」として、企業側にもくぎを刺した。 【グラフ】中小は支給見送りも…ボーナス増減率の推移 最高裁は平成30年6月、格差の妥当性の判断に当たっては「賃金総額の比較だけでなく、給与や手当てを個別に検討する」との判断枠組みを示した。その上で改正前の労働契約法20条の定めな
新型コロナウイルスの感染拡大で、弱い立場の労働者が窮地に陥っている。中でも非正規労働者の7割を占める女性は、休業に伴う給与補償を受けられないなど不安定な立場に置かれ、夫の「補完的」な収入と扱われる根深い性別役割分担の意識にも苦しむ。セックスワーカー(性風俗従事者)への差別や偏見も露呈するなど、女性と労働を巡る問題は深刻化している。 布マスクの正しい洗い方は? 厚労省・経産省が紹介する方法で洗ってみた<動画あり> 札幌市内のコールセンターに勤める50代女性は毎日、朝から夕方までマイクに向かう。100人近く集まるオペレーターは、ほとんど女性の非正規労働者だ。 4月に入り「感染予防で休みたい」と申し出ると、上司に「無給で良ければ。旦那もいるんだし」「会社に戻れないかもしれないけど」と突き放された。そんな正社員は自主的に休んでも有給。しかも、監督のため出社すると1日数千円の手当が出ると聞いた。 仲
「非正規と呼ぶな!」と指示したメールが厚生労働省内に出回ったらしい。先週あちこちで批判されていたので、ご存じの方も多いと思うけれど簡単に振り返っておく。 【写真】パートタイムだろうと、有期雇用だろうと、派遣だろうと、正社員だろうと「働く」ということに全く違いはない。にもかかわらず、企業が非正規と正規という単なる雇用形態の違いで「働かせ方」を区別したのだ 問題のメールは今年4月に同省の雇用環境・均等局の担当者名で省内の全部局に「『非正規雇用労働者』の呼称について(周知)」という件名で通知されたもので、国会答弁などでは「パートタイム労働者」「有期雇用労働者」「派遣労働者」などの呼称を使うことを指示。「非正規」のみや「非正規労働者」という言葉は用いないよう注意を促すものだった。 また、「『非正規雇用』のネーミングについては、これらの働き方には前向きなものがあるにもかかわらず、ネガティブなイメージ
2019年7月に開かれた国際女性ビジネス会議に「経済の会議は初めて」と言いながら登壇した上野千鶴子氏。経済の世界で女性を増やすことが盛んに言われる中で、その目的は何なのか、女性を増やしてどうしたいのか、その先の話をしたい。そう聴衆に投げかけた――。 ■なぜ今、上野千鶴子ブームか 上野千鶴子ブームが起きている。「がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています」と言い切り、東大入学式での日本社会の構造的差別を暴くスピーチが話題になった。 「情熱大陸」に出て、さまざまな後輩女性たちとの対談や、インタビュー記事に登場。ついに先日は『セブンティーン』で「上野千鶴子先生×花恋×ST読者 お悩み相談室」という記事が。読者モデルを含む女子中高生の相談に答えた。 もちろん初のブームではない。数えれば、今は第何次上野千鶴子ブームなのだろうか? いや上野先生自身は何も変わっていなくて、世の中が
筆者は、「専業主婦は経済的に損をする」ことが各研究より明らかにされているものの、それでも日本では専業主婦が支持される理由に、金銭では測定しきれない幸せの尺度があることが見え隠れすると述べている。確かに、幸せは個人の主観に過ぎない。中には、貧困・低収入ながらも高い幸福感を得ている専業主婦もいる。子育てと夫婦関係が比較的良好であると低収入ながらも幸福度が高いというデータもある。ただし、自分が「幸福」と感じているものの、客観的にみるとむしろ「不幸」、相対的貧困とも言える状態にいる貧困専業主婦は少なくない。 本書では、「貧困専業主婦」を一つの「社会現象」と捉え、「貧困の罠」、「制度的罠(配偶者控除、社会保障制度、配偶者手当など)」が意図せずに専業主婦コースへと誘導する効果があるとしている。働く希望を持つ貧困専業主婦の労働を阻害している「社会的な障壁」が確かに存在し、「貧困なのに専業主婦」というジレ
政府が就職氷河期世代の就労をサポートする中、労働政策研究・研修機構(JILPT)は7月、都内で労働政策フォーラム「『就職氷河期世代』の現在・過去・未来」を開催した。フォーラムでは、就職氷河期世代の実態が報告され、その支援策が議論された。就職氷河期世代とは、政策的には1993~2004年に卒業を迎えた世代とされることが多く、おおむね30代後半から40代前半の世代を示す。 報告によると、就職氷河期世代は、後から正社員になった人の割合が他の世代に比べて多いが、新卒から正社員の人に比べて収入が低いなどの傾向があった。また、今後、この世代は子どもの教育や老後の備えなどで困難が増えるという予測がされた。 フォーラムでは、ニート研究の第一人者として知られる東京大学社会科学研究所の玄田有史教授も基調講演を行った。現在、引きこもりが長期化して50代の子を80代の親が支える「8050」問題が深刻化しているが、
パート、アルバイトでは、フルタイムで働いても過半の人の年収が200万円未満だ hyejin kang/iStock. <定められている最低賃金では「普通の暮らし」をすることさえおぼつかない> 雇用労働が普及した現在では、労働者は働いた対価として賃金を得る。野放しでは雇い主が賃金を思いのままに決めてしまうので、最低限の生活に足る最低賃金が定められている。2019年度の最低賃金は、最も高い東京で時給1013円、最低は790円(15県)となっている。 時給790円の場合、1日8時間労働の日給は6320円で、年間250日働くと年収は158万円となる。これが最低限の暮らしができる収入かどうかは怪しい。東京の最低賃金だと年収は203万円だが、都市部の物価の高さを考えると心もとない。 これは最低賃金による見積もりだが、普通に働いても普通の生活に足る収入が得られない人は数多くいる。週35~45時間働く労働
雇用労働が普及した現在では、労働者は働いた対価として賃金を得る。野放しでは雇い主が賃金を思いのままに決めてしまうので、最低限の生活に足る最低賃金が定められている。2019年度の最低賃金は、最も高い東京で時給1013円、最低は790円(15県)となっている。 フルタイム労働者の年収分布グラフを見る 時給790円の場合、1日8時間労働の日給は6320円で、年間250日働くと年収は158万円となる。これが最低限の暮らしができる収入かどうかは怪しい。東京の最低賃金だと年収は203万円だが、都市部の物価の高さを考えると心もとない。 これは最低賃金による見積もりだが、普通に働いても普通の生活に足る収入が得られない人は数多くいる。週35~45時間働く労働者を抽出し、年間所得(税引き前)の分布を見ると<図1>のようになる。正社員、派遣社員、パート、アルバイト、フリーランスに分けて出した。フリーランスとは、
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