認可保育所の最低基準面積に関し、厚生労働省は12~14年度の間、用地確保が困難な大都市35市区に限って独自に設定できるようにする省令案を公表した。全国知事会から、保育所に入れない待機児童問題の早急な解消を迫られた末の苦肉の策だ。しかし、基準の切り下げで保育所不足を補う手法は、保育サービスの量と質を増やすという政府の基本方針に逆行する。今でも不十分な保育環境を一層悪化させ、子どもの安全を脅かす「禁じ手」ではないか。 10年4月1日時点の待機児童数は2万6275人。リーマン・ショック後、家計を補うために働き始めた母親の増加に伴い、再び増えている。全国知事会は「保育所の運営基準を市町村の自由裁量に委ねれば、創意工夫で問題を解消できる」と訴えてきた。 基準面積の切り下げとは、国が一律に定める認可保育所の乳幼児1人当たりの床面積を、自治体の判断で狭くできるということ。現在、0~1歳児の最低基準は乳児