匂いは乳児期の最も重要な感覚私たちの社会的判断に匂いは大きな影響力を持っている。「あいつは臭い」というのはいじめの常套句だし、家族の一員の匂いはなんとなくわかるし、嗅いだ時安心する。これは当然と言えば当然で、まだ視覚が完全でない乳児期に経験される脳へのインプットは匂いが中心になる。当然、発達期の脳回路を書き換える経験の中に匂いの占める役割は大きい。実際、発達初期の乳児を口唇期というように、口に触れるものを追いかける口唇反射を私たちは本能として持っている。このように最初の脳の書き換えに匂いの役割が大きいとすると、社会的(対人的)行動に異常が見られる自閉症スペクトラム(ASD)は、匂いに対する反応でも違いがあると予想される。 自閉症の匂いへの反応を調べた新しい研究これまでASDの社会性の変化についての研究では、「何を見ているのか?」が調べられることが多く、匂いに対する反応はあまり研究されてこな