「ばい菌が付いている」「忘れ物をしたかも」などの強迫観念に取りつかれ、それを打ち消そうと手を洗い続けたり、何度も確認したりといった強迫行為を繰り返す精神疾患「強迫性障害」。生活に支障をきたすだけでなく、周囲との関係がこじれてしまう例も。これまでは「性格の問題」で済まされることも少なくなかったが、病気だという認識が一般にも広まりつつある。 (花井康子) 愛知県の高校二年の男子生徒(16)の母親(50)が、おかしいと感じたのは昨年十二月。一緒に出掛けた時のことだ。手ぶらで家を出たにもかかわらず、帰る途中で「何かを落とした気がする」と言いだした。帰宅しても「確認したい」と繰り返したため、行った先に電話で聞いたが、何も見つからなかった。 その後、通学でも同様の症状が出始めた。学校からの帰り道、落とし物をしていないかが気になって、自宅に向かって学校を出ては、来た道を引き返すように。通常なら二十分ほど