世界に誇る日本のアニメ。最初の国産アニメは短編映画として1917年に公開された。100年の歴史のうち、顧みられる機会の少ない前半期の作品の魅力を、杉並アニメーションミュージアム館長でアニメ作家の鈴木伸一さん(83)に語ってもらった。63年にテレビで「鉄腕アトム」が始まる前の時代に、こんなアニメがあったのを知っていますか? ◇ 鈴木さんは、赤塚不二夫や石ノ森章太郎らが暮らした伝説のアパート「トキワ荘」の元住人。藤子不二雄作品に出てくる「ラーメン大好き小池さん」のモデルとしても知られる。 「僕が漫画からアニメの世界へ入った頃は、セル(絵を描きつける透明なシート)が貴重で、絵を洗い落として再利用した。その前の時代は、紙に描いたキャラクターを切り抜いて背景に重ねていた。100年前の『なまくら刀』を見たら、そんなやり方でもちゃんと面白い作品ができると分かる」 1917年の幸内純一「なまくら刀」は現存