裁判所というもっとも閉鎖的な空間で起きた出来事を、新聞社にリークする――そんな行動が許されるわけはなかった。自身の出世と引き替えにそれをやった裁判官が、50年越しに真相を語る。 「僕は出世できないのか」 第15代最高裁長官を務めた町田顯は、2004年10月、裁判官として採用された新任判事補への辞令交付式の挨拶でこう述べた。 「上級審の動向や裁判長の顔色ばかりうかがう『ヒラメ裁判官』がいると言われている。私はそんな人はいないと思うが、少なくとも全く歓迎していない」。 皮肉なことに、これは町田長官に対する批判でしばしば使われる言葉だった。 町田が、東京高等裁判所の民事部裁判長だった時のことだ。知り合いの法曹関係者に、こう零していた。「僕は、高裁長官にはなれないのかねえ」。 当の法曹関係者は、その時の驚きを、いまも鮮明に覚えている。 「町田さんと無駄話をしていた時のことです。ポツリと、本人の口か
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