熊本県や大分県で頻発する群発地震で“2次被害”が多発している。無情に降り注ぐ冷たい雨とともに被災者を苦しめるのは自然の脅威だけではない。人気のなくなった住宅地などに侵入し、金品を奪う「火事場泥棒」が横行しているというのだ。熊本県警に寄せられた窃盗事件などの被害件数は22日午前6時現在、実に17件。被災地には不届き者に対する憤りや恐怖が渦巻いていた。 (報道部・宇都木渉) 地震発生後、被災地に初めて強い雨が降った21日。熊本市の東に位置する人口7000人あまりの西原村は、ダムの決壊などの恐れがあるとして525世帯計1573人に避難指示が出された。 一連の地震でこの地に決定的な被害をもたらしたのは震度計のデータに不具合があり「不明」となっていた16日の「本震」だった。後日、気象庁が「震度7」と訂正したこの揺れで、18日の時点で村民全体の約25%にあたる1809人が村内の6つの施設に避難している