半導体研磨剤の原料で世界シェア9割超を誇る扶桑化学工業の杉田真一社長は、市場拡大に伴って生産設備を拡充する動きが業界内で加速する結果、流れに乗り遅れないために行う投資の負担が業績の足を引っ張り始めているとの見方を示した。 同社は現在、鹿島事業所(茨城県神栖市)と京都事業所(京都府福知山市)で計500億円を投じ、半導体材料のウエハーを平坦にする工程で使われる研磨剤「スラリー」の主要原料、超高純度コロイダルシリカの増産体制構築を急ぐ。2025年7月時点の生産能力は23年3月期比で約1.5倍になる。 杉田氏はブルームバーグのインタビューで、「これまで3年や4年に1回ならうまく償却を吸収できた」ものの、直近の設備投資については、「稼いでも稼いでも借金を払っているみたいな感じ」だと話した。両事業所を含む減価償却費は今期(24年3月期)に73億円、来期は94億円を見込む。政府の補助金を見込んでも台所事