ウクライナ南部のクリミア半島をロシアが併合したことが重大な国際問題になっています。 ロシアのプーチン大統領は、住民投票によって圧倒的多数がロシアへの編入を支持したのだから「完全に民主的で合法的だ」といいます。しかし国の憲法や法律を無視して各地域が勝手に住民投票を行ない、独立や他国への編入を決めるのでは、近代を支える主権国家の仕組みの全否定になってしまいます。欧米諸国が「併合はぜったいに受け入れられない」とするのは当然です。 しかしその一方でクリミア半島が複雑な歴史を抱えていて、「ロシアの侵略」と単純に決めつけられないのも確かです。ヨーロッパでも危機感が強いのはポーランドなど東欧の国で、ロシアとの経済的な関係が強いドイツでは「旧ソ連邦の特殊な出来事」として制裁に消極的な意見が多数派のようです。 クリミア半島をめぐる争いは、政治が権力闘争だということをよく示しています。権力者が政治的決断をする